「反省したのは、我々が企業研修と同じスタンスでのぞんだことです。
ビジネスパーソン向けの場合、会社から『このセミナーを受けなさい』と言われ、人事が研修を後ろで見ているから、社員はお行儀よく受けるのが一般的でした。
聞く姿勢のできたオーディエンスだから、講師も『これが大事だよ』と言えばいいという前提で行われていた。セミナーを提供する側が『俺たちはいいことを言っているんだから、聞かないヤツはバカだ』という研修がすごく多かったんです。
でも、アスリートの研修は、それではうまくいきません」
「これを覚えておいて」は通用しない
プロ野球選手たちには学生の頃、授業を熱心に聞いていなかった者も少なくない。端的に言えば、つまらないからだ。
子どもの頃から野球で人生を切り開こうと考え、勉強しても役に立たないと思うから耳を傾けない。
そうして育った選手たちに、どうすれば話を聞いてもらえるか。坂井氏が続ける。
「例えば資料で普通は『テーマ1、テーマ2』とするところを『1回、2回』と野球にちなんだものにしたり、パワーポイントの挿絵にボールやバットを織り交ぜたり、選手たちが“拒否反応”を示さないものを散りばめていきます。
講師にも、野球経験のある人を連れてくる。どうすれば、選手たちが研修に向き合ってもらえるかと考えました。
ティーチング一辺倒になり『これを覚えておいて』という研修は、アスリートには通用しません。Z世代にも同じことが言えます」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら