物価高でも乗りたい「デンマーク鉄道旅」の魅力 合理化とIT化でシステマティックな運営を実現

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物価高からレストランは高額なので、コンビニやファストフードを多く利用したが、いつでも近くにゴミ箱があるのは助かる。さらに、駅構内などにベンチなど座るところがたくさんあるとも感じた。ゴミ箱やベンチの少ない日本は、日本人利用者、訪日外国人観光客ともに不便を感じているのではないかと思う。

コンビニは至る所にセブン‐イレブンがあり、ローカルな無人駅でもコンビニがあった。ユニークなのは車内販売もセブン‐イレブンが行っていることだ。

駅員のいる駅はほとんどないが、ワンマン運転列車もなく、改札がないので切符のチェックのため車掌が乗務、ドア操作を行い、それは乗務員室からではなく、乗客が乗降するドアから行う。切符はスマホのアプリで購入、車掌は携帯するスマホで客のスマホのQRコードをかざしてチェックする。「ユーレイルパス」もQRコードである。全体的に合理化する部分と、利便性重視の部分のバランスが絶妙と感じた。

数多くの鉄道雑誌が売られている

意外な一面も紹介しておこう。合理化、IT化が進んでいるが、駅には必ずあるといっていいコンビニでは、雑誌のコーナーが充実していて、IT化が進むなかアナログなものも多く残っていた。鉄道雑誌、鉄道模型雑誌も数多く、ドイツやオーストリアで発行、それをヨーロッパ全域で販売するために現在も元気なのかなと感じた。

谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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