物価高でも乗りたい「デンマーク鉄道旅」の魅力 合理化とIT化でシステマティックな運営を実現

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狭い国土に思えるがデンマーク国鉄(DSB)の旅は興味深かった。いくつかの島から成るが、橋で結ばれ、インターシティ網が整っている。ユニークなのは、同じ外観ながら電車と気動車があり、双方が併結できることである。

コペンハーゲン出発時は10両編成で、途中駅で行先が3方向に分かれ、非電化区間へ直通できるなど、鉄道の機動性が活かされている。「乗り換えなし」を重視している点が好ましい。このような運行ができるくらいなので定時運行率も高い。切り離し、連結は自動で行い、地上係員によるジャンパーカプラー(電気ケーブル)や幌(連結部の通路の枠)の操作は伴わない(幌はないが通り抜け可能)。

国際列車はドイツとスウェーデン方面へ運行する。ドイツ方面はハンブルク行きで、ドイツ側車両は電気機関車牽引、デンマーク側車両は前述のインターシティ型である。スウェーデンへもトンネルと橋でつながっていて、両国間の海峡を意味する「エーレスンド」と呼ばれる電車が頻繁に行き来する。もはやコペンハーゲンとスウェーデン南部は通勤圏であった。両国の首都であるコペンハーゲンとストックホルムの間にはスウェーデン国鉄のSJ2000(登場時はX2000)による全席指定の列車が行き来している。ドイツのベルリンからコペンハーゲンを経てストックホルムまで運転する夜行客車列車も健在だ。

渡り鳥ルートは廃止

デンマークの鉄道というと、ドイツのハンブルクとの間に、列車をフェリー航送する「渡り鳥ルート」を思い起こす人も多いと思うが、このルートは廃止された。それどころか、列車、フェリー、列車と乗り継ぐこともできない。双方で港まで通じていた鉄道が廃止されている。

現在でもフェリーは頻繁に運航しているが、乗客は自動車利用者と、航送する長距離バス利用者がほとんどだった。現在のコペンハーゲンとハンブルクを結ぶ列車は、橋でつながっているユトランド半島を経由するルートで、距離は長くなるが線路がつながっているので、面倒なフェリー航送より所要時間は短縮されている。筆者は1990年代にこのフェリー航送を経験したが、風情あるルートだっただけに惜しい気もする。将来的には「渡り鳥ルート」をなぞるような海底トンネル計画がある。

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