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宝塚「醜悪会見」巡って渦巻く強烈な嫌悪の正体 官僚的組織の保身と、欠けていた大切な視点

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だが、もうひとつの「本当に重要な目的」を理解できている企業はまれだ。それは「ここまで真摯に反省し、再発防止に取り組んでいるのか」という「赦しの感情」を起こすことにある。

失敗する企業の多くは会見を「説明、説得の場」だと勘違いする。宝塚歌劇団にしても「いじめやハラスメントは『認められなかった』こと」、そして原因は「過密スケジュール」であったことを論理破綻が生じない形で結論づけて、なんとか説得しようとしていた。

説明や説得は社内の部門間交渉や上司への報告では有用かもしれない。だが、謝罪会見ではほとんど役に立たない。「論理的に破綻のない説明」は疑問を抱かせないための最低線であって、誰の感情も動かせないからだ。阪急電鉄の役員たちは、そこがまったくわかっていないように見えた。

では「赦しの感情」を起こすには、どうすべきなのか。今回の宝塚歌劇団の会見で言うと「ここまで徹底的に調べ、自分たちを厳しく断罪するのか」と思わせるほどの調査報告書を劇団の全面協力で仕上げ、再発防止策と併せて速やかにまとめるべきだった。

そこまで徹底的な準備が整えば、謝罪会見での受け答えもおのずと毅然としたものになり、受け手の感情を動かす。謝罪会見の成否は、じつは準備した材料でほとんど決まっているのだ。

「証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」

遺族側は今回、劇団がいじめやハラスメントを認定しなかったことに反論、再検証を求めた。劇団の次期理事長で、阪急電鉄の取締役でもある村上浩爾氏は「そのように言われているのであれば、証拠となるものをお見せいただけるよう提案したい」と発言した。

討論の場ではこの返答で良いのだろうが、「赦し」とは反対の感情を沸き起こすものだった。「理論武装に頼る、大企業エリート社員の官僚的な姿」を印象づけるには、これ以上ないほど最悪のものだった。

阪急グループの創始者・小林一三氏が明治に生まれ、今年がちょうど150年にあたる。鉄道会社や百貨店、沿線の都市開発まで手掛け、さらに宝塚歌劇団や東宝という娯楽産業まで生み出した小林氏の偉業をしのび、阪急はグループを挙げて展覧会やイベントを開催してきた。

この明治生まれの「稀代の起業家」が人生を賭けて育てた企業グループが、ここまで官僚的な姿へと変貌を遂げる。悲観的にすぎるかもしれないが、私にはそのさまがどこか日本の大企業の典型的な変化にも見えてしまい、一抹の哀しさを感じてしまうのだった。

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