さらに「嫌なもの」を感じたのは、阪急グループのサイトでの扱いだ。今回の調査報告書は宝塚歌劇団のサイトには確かに掲載されている。だが、本体である阪急電鉄や阪急阪神ホールディングスには、一切記述がないのだ。
過去には「宝塚歌劇宙組公演のメインテーマ曲のミュージックビデオを全編フルCGで制作」といった、とても重要とは思えないニュースまで阪急電鉄名義のプレスリリースとして掲載しているだけに、今回の報告書も同様にすべきではなかったか。
さて、記者会見の日程についても、触れておきたい。「下衆の勘繰り」との批判を覚悟のうえで、私にはひっかかるものがあった。
阪急阪神グループに属する阪神タイガースが、日本シリーズで優勝したのは今月5日だ。調査報告書の受領が10日で、今回の会見は14日であった。報告書の受領、そして会見が阪神タイガース優勝のほとぼりが冷めた頃だったのは、本当に偶然だったのか。
今年の「阪神」タイガース優勝は「阪急」幹部にとって、大変感慨深いものだったはずだ。というのも阪神は阪急に2006年に買収されたのだが、タイガースは長く阪神側の聖域とされた。それが昨年12月、初めて阪急出身者が阪神タイガースのオーナーに就任したのだ。
スポーツ紙の報道によると、昨年の岡田監督の招聘も阪神側が当時の平田2軍監督を昇格させようとしたのに対し、阪急阪神ホールディングスの角和夫会長兼グループCEOの介入によって、角会長と同じ早大出身で昵懇と言われていた岡田監督が就任したと言われている。今年の優勝を見れば、阪急側の「大ファインプレー」だった。
そんな「雲上人」であるグループ総帥の思い入れが極めて強いタイガース優勝に、「宝塚の失態で絶対に水をさすわけにはいかない」。そんな役員たちの忖度があったとしても、不思議ではない。
そもそも「謝罪会見」の目的は2つある
さて、そもそも謝罪会見は何を目的に行うものであろうか。ひとつは開催することで「説明責任を果たしていない」という批判を抑えるためだ。
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