ブルトレから貨物まで「国鉄型電気機関車」の記憶 静かに消えゆく、日本の発展を支えた力持ち
ED16形は1931年に電化が完成した中央東線八王子―甲府間と上越線の水上―石打間に投入され、最後は青梅線・南武線の鉱石運搬用として1984年まで使われ、長寿を誇った。青梅線などで電車に交じって貨物列車を牽いていた姿は懐かしい。
電化区間はその後各地に広がっていき、大量輸送用の高性能機関車が求められるようになった。1934年の東海道本線丹那トンネル開通・東京―沼津間電化に合わせて造られたEF10形や、1940年に登場した急行用のEF57形などが代表格であろう。とくにEF57形は当時の東海道本線の花形特急「つばめ」を牽いた実績もあるほか、後に転じた東北本線では1970年代に黒磯―上野間で急行列車を牽引し、勇壮なスタイルとともに鉄道ファンに人気の高い機関車だった。
戦前の電気機関車の中で特筆すべきは、流線形スタイルのEF55形であろう。世界的に流線形デザインがブームとなった1936年に造られ、ひときわ異彩を放つ存在だった。国鉄末期の1986年に復活し、以来約20年ほどイベント列車などで運用されて人気を集めた。今は大宮の鉄道博物館に保存されている。
寝台特急や重量貨物列車を牽いた名機たち
戦中の荒廃を経て、戦後は電化の進展とともに電気機関車が各地の本線で大活躍するようになった。中でも電気機関車全盛期を代表する形式となったのがEF58形だ。終戦直後の1946年に登場し、当初はデッキ付きのスタイルだったが、1952年以降に製造された車両はスマートな半流線形車体で登場。初期の車両も同様の車体に更新された。172両が造られ、ブルートレインも牽引。1980年代まで鉄道輸送に大きく貢献した。
復興に伴い増え続ける貨物需要は、より大量輸送に適した機関車を生み出した。「マンモス」と呼ばれ、国鉄の電気機関車で最大級の大きさを誇る2車体連結のEH10形だ。
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