鉄道員にオヤジと呼ばれたSL「キューロク」の記憶 大正生まれ9600形、国鉄最後の現役蒸気機関車

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名寄本線 重連 9600
重連で天北峠に挑む9600形=1973年9月、名寄本線上興部付近(撮影:南正時)

大正時代に登場した9600形蒸気機関車は、その形式から「キューロク」と呼ばれて親しまれた。貨物列車用に造られた機関車ということもあり、同時期に製造されて2024年春まで1両が「SL人吉」として活躍していた旅客列車用の8620形、通称「ハチロク」の陰で目立たない存在だった。

国鉄最後の「現役SL」だった9600形

しかし、このキューロクこそ、保存用ではない国鉄最後の「現役」蒸気機関車だったことはSLマニアの間でもあまり知られていない。

国鉄最後の「さよならSL」としては、1975年12月14日に室蘭本線を走ったC57形135号機が知られているが、これはSLが牽く最後の旅客列車で、実はこれ以後もキューロクは北海道の追分機関区にて細々と入換作業に従事していた。1976年3月2日、国鉄の営業用蒸気機関車最後の日まで残ったのがこの機関区の3両のキューロクだった。華々しく看取られることなく、キューロクは国鉄最後の蒸機として引退した。

「デゴイチ」D51形や「貴婦人」C57形などの華やかな活躍とは対照的な存在ながら、ローカル線で貨物列車を牽いて日本の経済を支え、大正生まれながらSL最後の日まで走り続けたキューロクの生涯をたどってみたい。

【写真】倶知安機関区の「二つ目」や米坂線の通勤列車、後押し機関車を連結して力闘する田川線「油須原越え」、中国に渡った9600形の貴重な姿も(60枚以上)
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