ドラフトで入団時、選手たちには1位や10位、育成枠など“序列”がつけられるなか、全員が何かしらの才能を評価されている。
そうしてプロとして契約した選手は「個人事業主」となり、一軍で活躍できる能力を身につけられるか否かは、個々の努力に委ねられる部分が大きい。
誰もが一軍の壁にぶち当たり、なんとか打開しようとするなかで思考力が磨かれていく。秋山は代表例と言えるだろう。
選手たちが「超」のつく競争社会に置かれる一方、球団は獲得した人材の能力開発をどう考えているのか。西武のケースを秋元ディレクターが語る。
「去年までの場合、球団から『こういう構想を持って獲った選手だ』という大まかなフレームはありましたが、育成の中身はその都度、判断していく形でした。
でも、細かなプランが必要だろうと。今年から私が主になり、選手に対して育成の方針、将来像を描いて、1年間どういった方針で育成していこうかとプランを立てています。それに対し、コーチたちに2カ月区切りで短期の目標、育成プランを立てて進めてもらっています」
思考を言語化し「相手に正しく伝える能力」が大事
コーチたちには数年前から指導者研修を始めた。コミュニケーション術や、コーチングの方法などを学ばせている。
加えて秋元氏を含め、ディレクターやコーディネーターの立場にある5人がマネジメント研修を1年間受講する。「最終的に、それらが選手の育成にすべてつながると考えて進めています」と秋元ディレクターは説明した。
かたや、選手たちには論理的な思考力を高めさせるべく、考え方や表現の仕方について学ばせる研修を2014年から行っている。秋元ディレクターが続ける。
「思考を言語化し、相手に正しく伝える能力が大事です。それがないと、指導する側と双方向のコミュニケーションがうまくいかなくなるので。
選手はずっとファームにいると、『一軍で生き残るためにはどうすればいいか』と考えるところまでたどり着かないかもしれない。そうした考え方をファームの頃からできるように、主体的に行動できる選手を育成しようとしています」
今季の西武は松井稼頭央監督の新体制になり、5位に沈んだ。目についたのが若手の伸び悩みだ。
外野手のレギュラー候補である愛斗、若林楽人、鈴木将平らは高いポテンシャルを秘めているものの、定位置確保は今年もできなかった。調子が下降したとき、どうすれば打開できるのかという引き出しがまだ見つかっていないのかもしれない。
過去にレギュラーとなった選手たちは、自身でその方法を探し出してきた。その土台にあるのが思考力や主体性だ。これまでは自ら身につけた者たちが主力になったが、球団として取り組み始めた成果は今後どのように表れていくだろうか。
「育成のライオンズ」を実現し、優勝争いに食い込めるようになるには、「人材開発」の行方がカギになる。
*この記事のつづき:「西武ライオンズ『獅考トレーニング』驚きの全貌」
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら