プロ野球の戦力補強は、大きく4つの手段がある。アマチュア選手を対象としたドラフト会議、外国人選手、フリーエージェント(FA)、トレードだ。
西武の「伝統的な強み」とは?
西武は1980年の所沢移転時の監督で、“球界の寝業師”と言われた根本陸夫氏の影響で独特のドラフト戦略を持つと言われる。そこに入団後の育成が噛み合い、「スケールの大きい選手が出てくる」のが伝統的な強みだ。
横浜で選手、コーチとして長らく在籍した秋元ディレクターは、西武に来てその特色を感じると話す。
「他球団の場合、『この選手は足りない能力を身につけないと、一軍では活躍できない』と最初からアプローチをかけることが結構あります。でも最初から足りない部分を埋めていこうとすると、いいところを伸ばさないまま平均的な選手になることもある。
対してライオンズは、『プロに入ってきた時点でこの能力が一番秀でているから、この力が突き抜ければ一軍で活躍できる』と考えます。まずはスケールを大きくさせて、一軍レベルに達すれば足りないところを埋める時間は後からできますからね」
そうして大成したひとりが“おかわり君”こと中村剛也だ。175cm、102kgの巨漢で、入団した球団によっては真っ先に減量を命じられただろう。
だが、西武は持ち前のパワーを活かそうと考え、そのままの体型で長打を狙わせた。
極論すれば、4打数のうち1本塁打、3三振でいい。そう育てた結果、中村はNPB史上最多の2066三振を喫した一方、同12位の471本塁打を記録。本塁打王に通算6度輝き、40歳になった今も長距離砲として輝きを放っている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら