任天堂が「スイッチ7年目」で見せつけたすごみ ハードル高い下期も強力タイトルを複数用意

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目下、任天堂の一体戦略は過去にも増して強みを発揮しているといえる。

スイッチの2023年度上期のソフト売り上げにおいて、自社ソフトの比率は82.4%(前年同期は74.3%)に達した。

上期の16本のミリオンセラータイトルのうち12本が自社タイトルであり、しかもそのうち10本は旧作だ。2017年4月に発売された「マリオカート8 デラックス」は、2022年3月以降6回にわけて有料追加コンテンツを出すことでコミュニティの盛り上がりを維持し、上期だけで322万本を売り上げている。

後継機をめぐる報道は否定

自社ソフトの販売が好調な背景には、マリオやピクミンなど自社IPの強化戦略も効いている。4月に公開された映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、興行収入が13.6億ドルを超える大ヒットをなし遂げただけでなく、マリオのスイッチ向け過去作5タイトルの販売本数(4月~9月)を前年同期比で1.3倍まで押し上げた。

スイッチの後継機の噂も流れる中、古川社長は「2022年末にソフトメーカーに対して次世代機の説明を行ったという話や、2023年夏の海外イベントにおいて、新しいハードウェアのデモを行ったという報道があったが、いずれも事実ではない」と否定した。

2024年にも、スイッチでは「ペーパーマリオRPG」や「スプラトゥーン3」の追加コンテンツなどが予定されている。スイッチの勢いを維持したまま、うまく後継機にバトンタッチできるか。未知の領域での戦いはまだ続きそうだ。

武山 隼大 東洋経済 記者

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たけやま はやた / Hayata Takeyama

岐阜県出身。東京外国語大学国際社会学部モンゴル語専攻卒。在学中に西モンゴル・ホブド大学に留学。2021年東洋経済新報社に入社し、現在ゲーム・玩具業界を担当。

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