任天堂が「スイッチ7年目」で見せつけたすごみ ハードル高い下期も強力タイトルを複数用意
通期のソフト販売本数はわずかに上方修正した一方、スイッチ本体の販売台数は1500万台(前期は1797万台)の期初予想を据え置いた。下期はクリスマス商戦も控えるが、前期は2022年11月に発売された「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」の大ヒットなどで下期の比重が大きかったこともあり、それを超えるのは簡単ではないとの考えからだ。
10月8日に開かれた経営方針説明会で古川社長は「ハードは前年と比べて、そんなに簡単に台数を伸ばしていけるような状況ではない。これからソフトの販売を1本1本丁寧に伸ばしていき、スイッチの新規顧客の獲得と複数台需要を伸ばしていくことが重要だ」と語った。スイッチ本体の長寿命化のカギを握るのは、ソフトの販売戦略というわけだ。
その点、任天堂は下期に向けても強力なタイトルを複数仕込んでいる。10月20日に発売した「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」は、横スクロールのマリオシリーズとしては11年ぶりの新作だ。2週間で430万本を売り上げ、マリオシリーズでは過去最高ペースを記録。さらに11月17日には、27年ぶりにリメイクされた「スーパーマリオRPG」も発売される。
競合と一線を画す”一体戦略”
ゲームソフトメーカーの間では昨今、特定の端末向けに開発するのではなく、コンソール、PCなど複数のハードに対応したソフトを投入する傾向がより強まっている。デジタル販売の浸透により、これまで家庭用ゲーム機が普及していなかった地域にも、ソフトを提供できるようになったことも大きい。
約10兆円を投じたアクティビジョン・ブリザードの買収が10月に完了したマイクロソフトも、自社端末の「Xbox」だけでなく、PC、スマホなどさまざまなデバイスで豊富なタイトルをプレーできるサブスクリプションサービスを強化。ソフトメーカーとのパートナーシップ拡大を急いでいる(詳細はこちら)。
こうした競合の動きを尻目に、任天堂はハードとソフト一体型の戦略という基本方針の下、先述のようなスイッチでしか遊べない自社IPのタイトルで勝負する姿勢を崩さない。多様なプラットフォームでの展開が主流となりつつある中、その独自路線ぶりは際立っている。
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