LIXIL、優良子会社はなぜ破産したのか 異変を告げた銀行の「督促状」
ジョウユウが上場していた独フランクフルト証券取引所では、近年、中国企業の不祥事が続発している。2014年9月に起こった福建省の靴メーカーの経営トップ失踪などを受け、取引所が中国企業に対する積極誘致策の見直しに動いているとの報道もあった。
こうした事例を深刻に受け止めていれば、子会社化する前に、LIXIL本体から役員を派遣するなどし、経営状況に目を光らせることもできた。
だが、ジョウユウの経営を実際に見ていたのは、グローエのデイビッド・ヘインズCEOだけだった。ヘインズ氏は2011年からジョウユウ監査役会メンバーだ。2014年6月から事業会社LIXILの取締役を兼任し、ジョウユウの経営状況について藤森社長に直接報告する立場にあったが、結果的にはこの情報ルートも適正に機能しなかったといえる。
問われるプロ経営者の真価
今回の一件のほかに、カーテンウォールの世界最大手・伊ペルマスティリーザの買収後には、不採算受注の発覚などから、幹部らを大量解雇しており、「M&Aによる成長戦略に対し、株式市場では疑問が生じ始めている」(野村証券の福島大輔アナリスト)といった声も上がっている。
LIXILは遅延していた2014年度決算を6月8日に発表し、6月26日に株主総会を開催する。いずれの場でも藤森社長は冒頭のように、強気の姿勢を示すと予想されるが、投資家はもはや、手放しでは買収攻勢を評価しないだろう。プロ経営者・藤森社長の真価が問われる局面だ。
(「週刊東洋経済」2015年6月6日号<1日発売>「核心リポート03」を加筆)
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