現代の中国人が「小国主義」を読むべき理由とは。

姜 克實(ジャン・クーシー)/岡山大学名誉教授。1953年中国・天津市生まれ。小学校卒業時に、文化大革命で農場労働に従事。来日後、自由主義を唱えた石橋湛山の研究を始める。著書に『石橋湛山の戦後―引き継がれゆく小日本主義』、『晩年の石橋湛山と平和主義―脱冷戦と護憲・軍備全廃の理想を目指して』など
今年6月、政界に超党派の議員連盟「石橋湛山研究会」が発足した。死去から半世紀が経ったにもかかわらず、その主張や生き方に学ぼうとする動きが起こるのはなぜなのか。
『週刊東洋経済』11月18日号の創刊記念号特集は「今なぜ石橋湛山か」。豊富なインタビューや寄稿を基に湛山の軌跡を振り返る。
冷戦下の中国を訪問し、日中関係の改善に尽力した石橋湛山だから、もし現代に生きていたら、やはり中国に対して融和的であろうと考える向きがあるが、その見方は間違いだと私は思う。
当時の中国と今の中国は違う。湛山が関係改善に努めた頃の中国は、経済的にも軍事的にも今とは比べものにならぬほど弱かった。
今の中国はかつてないほど強大化、強権化している。習近平国家主席の言う「中国の夢」は、中国が世界をリードし、世界を制覇するという「覇権の夢」だ。
このような中国に湛山が融和的な態度を取るはずはない。湛山であれば、現代の強権的な中国を下支えしているのが民衆のナショナリズムであることを見抜き、厳しく指摘するはずだ。
根底にあるのはナショナリズム
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