戦前、石橋湛山は貿易と投資を「ぼた餅と箱」に例えた。
石橋湛山が書き残した評論集や経済分野の論文を翻訳している。これまで湛山の文章が英語に翻訳されたものがなかった。一語一語を確認しながら翻訳しているが、面白さを感じている。
湛山の論考を読むと、彼は日本の近代史の局面ごとに必ず書き残している。湛山は、明治天皇の「五箇条の御誓文」によって主権は国民にあり、日本の体制は民主主義になったと考えていた点がユニークだ。幅広く意見を取り入れる仕組みを作った明治天皇こそ、日本の近代国家の形成に貢献したと指摘する。
1920年代に普通選挙を導入すべしとの国民の要求が高まり、集会などの主催者からスピーチを頼まれた湛山は、十分に用意できず、五箇条の御誓文をそのまま読み上げたことがあったほどだ。二・二六事件後には、『東洋経済新報』で五箇条の御誓文の特集を組んでいる。こんな特集はとてもユニークだ。
政党政治よ、しっかりしろ
湛山は戦前、「軍が政治に干渉してくるのが問題なのではなく、軍の干渉を許してしまう政党政治こそが問題だ」と説いた。軍国主義が台頭しているが、実はそのときでも日本には民主主義があったという。それは五箇条の御誓文を種としてそれが日本で育っていたからだというのだ。
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