マンションなのに「断熱リフォーム」増加の背景 「資産価値向上」を目指し改修する例もある

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そこで事前に届出をすれば、共用部にあたる窓やサッシの改修について認める管理組合も増えている。昨今、カーボンニュートラルの実現を目的に、国や各自治体が住宅省エネ化に向けた積極的な支援を実施していることはご存じの方も多いだろう。

マンションの窓やサッシの改修工事を行う際の補助金制度もその一つで、条件さえ合えば、各専有部分のリフォーム工事でも活用できる。修繕積立金ではすべての改修が難しいため、補助金なども活用して、それぞれの窓サッシを改修して「OK」だと管理組合が「許可」している格好だ。

玄関ドア交換や窓の断熱化工事など、共用部分でありながら、各住戸の裁量に任せる「許可制」にした場合であっても、何らかのルールを定めておくことが重要となる。

例えば皆が好きなデザイン、カラーのサッシや玄関ドアを選んだ場合、マンション全体の美観を損なう可能性もある。またそれぞれ性能や水準に統一感がなく、異なる部材を使用した場合は、マンション全体の断熱性能などに差が出てしまう。

ひいてはマンションの資産価値にも影響する可能性があるため、あらかじめルールを決めておく。使用可能なデザインやカラー、また部材の性能や工事の手続きまで、きちんと「管理規約」や「細則」という形で定めておくことが大前提だ。

マンション管理組合も保険見直し

窓やサッシの改修にとどまらず、リフォームする際のトラブルは増加傾向にある。よく知られる事例に漏水がある。一般的に被害は階下に及び、原状復旧費用も含めた補修費用が数十万から数百万円と高額になる場合も。

これまでの経験上、最も高額な費用を要したのは、漏水が真下のみならず、両隣、さらにはその下の階にまで及んでしまったケースで、被害総額は数千万円近くになってしまった。個人での賠償を考えるとかなり重い負担となる。そこで通常は、マンションの管理組合が加入する保険に付帯する個人賠償責任の特約が適用される場合が多かった。

ところが最近、保険料の上昇に伴い、コストの抑制のために個人賠償責任特約を解約するマンション管理組合も少なくないという。自身が居住するマンション管理組合がどのような保険に加入しているのかを十分確認してほしい。

またリフォームといえば、在宅ワークや楽器演奏などのため間取りを変更したり、新たに防音室を設けようと検討している方もいるかもしれない。間取り変更や防音室にリフォームした場合、火災報知器やスプリンクラーの移設や増設が必要となることもある。

防災に関しても、個別ではなくマンション全体でのルールをあらかじめ設けておくのがベストだ。大きな変更があるリフォームに関しては、特に細則という形でのルール作成を行う必要があるだろう。

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