マンションなのに「断熱リフォーム」増加の背景 「資産価値向上」を目指し改修する例もある

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ただしマンションの場合、一戸建て住宅と異なり自由にリフォームすることはできない。居住者が使用する玄関ドアや窓枠・窓ガラス、専用庭、ルーフバルコニーなどの部分はマンションの「共用」部分にあたるからだ。

しかしながら、利用するのはその居住者に限られるため、「専用使用権」が認められた共有部分と呼ばれる箇所となる。今ある窓の内側に窓やサッシを加えるインナーサッシ(内窓リフォーム)は、「室内側のみの施工」というマンション特有の事情に適した代表的なケースだとも言えるだろう。

つまり窓や玄関から外側は厳密に言えば共用部分に該当するわけで、マンションの気密性能や断熱性能を向上させるためのリフォームなのだから、マンション全体で改修するという考え方もあるはずだ。

例えば一戸建て住宅やマンションの場合、断熱性能などを中心とする省エネ性能が優れている証しとしてZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)という指標がある。ZEHは7段階で格付けされる断熱等性能等級の5レベルとされる。

マンションのごく限られた数部屋にインナーサッシを入れただけでは、マンション全体の「省エネ」を達成しているとは言いがたい。そこで管理組合が主体となり、大規模修繕のタイミングでアルミサッシを樹脂サッシに改修するなどの対応を行っていく必要があるのだ。

実は「共用部分」も含まれる窓リフォームの注意点

特に築40年を超える高経年マンションの場合、建物全体の性能アップや資産価値の向上を目指し、組合として改修に取り組んでいかなくてはならない。これまで修繕積立金をしっかり積み立ててきた管理組合なら、大規模修繕と同時に住戸の断熱性能を高めるための修繕を行えるはずだ。

一方で「修繕積立金」が不足している場合、大規模修繕のタイミングで断熱性向上のための修繕を行うことは難しくなる。

現在の高経年マンションが建てられた当時は、長期修繕計画を基に「修繕積立金」を算出するという発想がなく、その指標も今ほど定まってはいなかった。

そのため現在、修繕積立金が不足する高経年マンションが増加している。そのうえ、外壁などの建築部分以外にも全体的な劣化が進む高経年マンションでは、給排水管や耐震改修なども検討する必要がある。断熱等性能向上のための施工にまで手が回らないのが現状となっている。

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