衆議院議員・河野太郎--虚構の核燃料サイクルで日本の原子力政策は破綻
もう一つの問題は、高速増殖炉の実用化はできないということ。50年までは少なくともダメで、仮に技術ができても、実用可能性は疑問視されている。現実にあまり増殖しないという説があり、ある人が「日本の金利ぐらい」と(笑)。プルトニウムを燃やして出てきたものを再処理するときの効率性も、「まだどこもやっていないからわかりません」と言う。
これだけ高速増殖炉には疑問符が付くのに、なぜ再処理工場でさらにプルトニウムを取り出すのか。すでにプルトニウムは日本に45トンある。
ところが、結局2兆円をかけて青森県・六ヶ所村に再処理工場を造った。これによって毎年プルトニウムが8トン出るという。こんな支離滅裂な計画があるか、と批判したら、東京電力の常務が来て、「河野さんの心配はよくわかるが、六ヶ所はそう簡単に稼働できません」と言う。
現実にトラブルで18回延期され、本格稼働はまだできていない。つまり、電力会社には六ヶ所を本格稼働する気はないが、核燃料のプールとして使いたいだけ。使用済み核燃料を原発のプールから移さないと、原発が止まってしまうからだ。一方、青森県側からは「うちはゴミ処理場じゃない。工場を稼働させろ」との声が出る。そこで本格稼働はできませんが、まね事はしますという話になった。
原子力政策をちゃんと事実で語ろう、六ヶ所村の再処理工場を稼働させる必要はないよ、と主張してきた。稼働させずに解体すれば「グリーンピア」や「私のしごと館」同様のバカなカネの使い方という話で済む。だがプルトニウムを燃やすアクティブ試験をやったら、中が汚染された巨大な上物ができ、その解体には何兆円ものカネがかかる。
しかし、アクティブ試験をやってしまった。法律で使用済み核燃料は全量処理すると決められている。「この法律はおかしい。日本の原子力政策は建前と現実との間にものすごいギャップがあって、破綻している」と問題提起しても、「あいつは共産党だ」と片付けられてきた。