神宮外苑だけじゃない「東京圏のスタジアム問題」 需要を見据えた長期的ビジョンや全体計画が必要

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東京ドームは、2021年4月に三井不動産が株式公開買い付け(TOB)で完全子会社化し、将来的に一帯の再開発を行うことを表明していた。「現時点で公表できる具体的な計画はない」(三井不動産担当執行役員)としているが、そこで浮上したのが築地市場跡地での新スタジアム建設の構想である。

同跡地(約19ha)の再開発事業は現在、東京都が事業者の選定作業を行っており、正式決定は来年3月の予定。三井不動産グループが事業者に選ばれるかどうかはわからないが、建築面積4.6haの東京ドームを上回ると予想される新スタジアムを都心部で建てられる広さの敷地は希少であることは間違いない。

東京ドームの2年後に建てられた千葉マリンスタジアム(8.1ha、現・ZOZOマリンスタジアム)でも、海岸に近いため塩害によって建物の痛みが激しく、千葉市が将来計画の検討に着手している。現時点では建て替えか、改修かは決まっていないが、2025年度中には基本構想をまとめて10年後の供用開始をめざして準備を進めている。

「建て替えるのであれば、街づくりを意識した計画にしたい」(千葉市都市政策課)とボールパークの実現も視野に入れ、開発を民間事業者に委託することも含めて検討を進める。建て替え敷地も、千葉県が所有する幕張海浜公園内か、幕張メッセ駐車場内を想定しており、確保する見通しは立っている。

神宮外苑地区でスタジアムの建て替えは可能か

では、神宮外苑地区で、2つのスタジアムの建て替えは可能なのか――。

神宮外苑地区全体の面積は約64haであるが、国立競技場、東京体育館、絵画館などの区画を除いた今回の開発面積は28.4haである。ここに築98年の神宮球場、築77年の秩父宮ラグビー場に加えて、神宮第二球場、屋内テニス棟が建ち、絵画館前広場には軟式野球場やバッティングセンターなどが設置されていた。

東京五輪2020を機に、敷地内でスタジアムの連鎖的建て替えを行うことで問題解決を図ろうとしたのが今回の事業計画だ。最初に第二球場を取り壊すことで、新ラグビー場の建て替え用地を確保。完成後に、旧ラグビー場とテニス棟などを取り壊して跡地にホテル併設の野球場を建設し、テニス棟は絵画館前広場に移設する。

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