初心者に教えたい「新NISA」でやったらダメなこと せっかく分散投資をしても意味がなくなる

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分散投資は闇雲に行えばいいというものではありません。

銀行や証券会社などの販売金融機関から勧められた投資信託を買っているような人のなかには、確かに複数の投資信託を保有しているのですが、いずれも同じ資産クラスに投資するものだったりすることがあります。たとえば、日本株を組み入れて運用する投資信託ばかりを5本も買っているようなケースです。

運用会社も運用方針も、そしてファンドマネジャーも異なるから、それで分散されていると思うのは大きな間違いです。

同じ資産クラスに投資している投資信託は、ものによって多少の差はあるものの、基本的に、マーケットが上昇すれば同じように基準価額が値上がりしますし、マーケットが下落すれば同じように値下がりします。つまり、日本株に投資する投資信託だけを何本も保有していたとしても、それは価格変動リスクのヘッジにはならないのです。

複数の資産クラスに分散投資するには

なお、投資信託で複数の資産クラスに分散投資をする時は、たとえば米国株投資信託、日本株投資信託、米国債券投資信託、国内債券投資信託など、単独の資産クラスに投資する複数の投資信託を自分で選び、組み合わせるよりも、複数の資産クラスに分散投資しているバランス型投資信託を1本購入するほうが、余計な手間がかからなくていいと思います。

自分で複数の投資信託を選んで組み合わせようとすると、それぞれの資産クラスに投資しているたくさんの投資信託のなかから1本ずつ選んでいかなければなりません。結構な時間がかかります。それぞれの投資信託をどの程度の比率で買うかも考えなければなりません。

しかも、これを一括で購入するならまだしも、長期にわたって、毎月、複数の投資信託に分散させて積立投資するのは、結構面倒です。

さらに、運用を開始して一定期間が経過すると、値上がりした投資信託、値下がりした投資信託が出てきます。これを放置しておくと、運用開始時に決めたポートフォリオの比率が変わり、リスク・リターンも変わってきます。

そこで、そんなに頻繁に行う必要はないのですが、たとえば1年に1度くらいの頻度で、値上がりした投資信託の一部を解約し、値下がりした投資信託を追加購入して、当初のポートフォリオ比率に戻す「リバランス」を行わなければなりません。

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