高値圏にある金は今から買ってもいいのだろうか 「中東情勢一服」でも、金利低下なら再上昇?
特にイランがペルシャ湾からの海上輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖するような行動に出るようなことがあれば、湾岸産油国からの石油供給が滞る可能性が高く、原油相場も1バレル=100ドルの大台を一気に上抜ける展開となるのは必至だ。アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は7~8日に東京で開かれるG7(主要7カ国首脳会議)外相会合に出席する予定だが、インド訪問なども予定している。これは、中東情勢の不測の事態に備える動きとも見るべきだろう。
FRBの「ハト派転換」を待つ
筆者は金価格が長期では上昇するとの見通しを維持している。ただ、やはり今後も、FRBの動向に注目し続けるべきだ。雇用統計の「弱気サプライズ」を受けて、利上げ打ち止め観測が大きく高まったのは確かだが、金融政策は今後のデータ次第という方針に変化が生じたわけでは決してない。
14日に発表される消費者物価指数の内容次第では、改めて利上げ観測が浮上、金利も上昇に転じる可能性は十分あると見ておいたほうがよい。一方で元の金利の低下を受け、それまで敬遠されてきたアメリカ国債に対する安全資産としての需要が復活、一時的に金から同国国債への資金の移動が活発になるシナリオにも注意が必要だろう。
中東情勢がどのようなシナリオで進んでいくのかにかかわらず、いずれはアメリカの景気が大幅に悪化、それに伴ってインフレ圧力も後退してくる。そうした状況の中で、FRBが利下げ転換を示唆するほどハト派に傾いてくれば、そのときこそ、金にとって大きな買いのチャンスになることだけは確かだ。
直近ではアメリカの利上げ終結観測が一気に高まった形になっているが、地政学リスクにせよ、景気動向にせよ、インフレにせよ、すべての見通しについてなお不透明感は払拭されていない。
株式市場は利上げ終結を見越して大きく反発しているが、なおも不安定な相場が続きそうだ。金に関して言えば、短期的にはどちらに決めつけてむやみに動くことはせず、様子見の姿勢を貫くことが大切だろう。
FRBのハト派転換が明確になってくれば、自然と金の買い意欲は強まってくるのだから、我慢強くそのときを待っていればよい。中東情勢など、事態はなお流動的だが、転換点は意外に早く、場合によっては年明け早々にやってくることもあるのではないか。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
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