アメリカの長期金利上昇はまだまだ続きそうだ 原油価格の高止まりだけが懸念要因ではない
アメリカの長期金利上昇は本当に止まるのだろうか。急騰のきっかけとなったのは、やはり9月19~20日に開かれたFOMC(連邦公開市場委員会)だ。大方の予想通り、政策金利であるFF金利(フェデラルファンドレート)の誘導目標は、年5.25~5.50%のレンジで据え置きとなった。
依然としてアメリカの景気は好調を維持
だが、同時に発表されたFRB(連邦準備制度理事会)高官の経済見通しでは、「ドットチャート」と呼ばれる今後の政策金利予想が6月開催時よりもタカ派的な内容となった。とくに2024年の見通しが前回から0.5%の引き上げとなったことが大きかった。
6月時点の見通しでは、2024年には1%分の利下げ、つまり、1回のFOMC会合での利下げ幅が0.25%なら「4会合分の利下げ」が予想されていた。だが、これが0.5%(2会合分)に縮小された。
そうすると、来年9月に初めて利下げに転じ、その後同11月の会合を飛ばして次の12月に追加利下げを行うか、11月と12月の2会合連続で利下げを行うかのどちらかということになる。要は、来年夏までは利下げが行われず、現在の高金利が維持される見通しが高まったというわけだ。早期利下げ転換を予想していた市場参加者にとっては大きなショックとなり、タカ派的な見通しを維持していた向きを勢いづかせた。
「米国で起きている金利上昇をどう読めばいいのか」(8月25日配信)でも、「足元の金利上昇はインフレに対する懸念の高まりなどが理由ではなく、景気が思った以上に好調さを維持していることの影響が大きい」と指摘したが、現在もこの状況はあまり変わっていない。
FRBのジェローム・パウエル議長も「ここまでの最大のサプライズは、景気が思った以上に好調を維持していることだ」と語っているが、10月6日発表の9月雇用統計でも、非農業部門の雇用者数が前月比33万6000人増となるなど、現在のアメリカ経済はとてもリセッション(景気後退)に陥るような状況ではない。7、8月の雇用数も上方修正されており、足元の雇用の過熱は制御不能に陥っているとの指摘まである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら