コロナ禍、ウクライナ危機に続くイスラエル・ハマス戦争で中東地域全体の緊張、テロの可能性なども高まり、投資家が嫌う極度の不確実性が想定される。中でも世界の経済活動を支えるエネルギー問題には深刻な懸念が多くの経済学者から指摘される。
紛争開始以来、原油価格は1バレルあたり約5ドル上昇している。世界貿易機関(WTO)のオコンジョ=イウェアラ事務局長は「同地域は天然ガスや石油などの世界のエネルギーの多くの供給源でもあることを忘れないでほしい」と訴えている。
国際通貨基金(IMF)の推計では世界の原油価格が10%上昇した場合、世界のインフレ率は0.4%上昇する可能性もあるという。石油製品の価格高騰にもつながる。インフレ抑制に取り組む世界中の中央銀行には新たな試練だ。さらにイランがイスラエル・ハマス戦争に何らかの形で本格的に関与を深めた場合、ホルムズ海峡の航行に支障をきたし、日本を含む石油輸入国を直撃する可能性もある。
日本のビジネスパーソンに求められる高い見識
グローバルリスクとしては、すでに対外債務問題及び投資家からの信頼の喪失に直面する新興国や途上国の状況悪化は全体的な総需要減少に繋がる。グローバル展開する日本企業も主要な貿易ルートの混乱がもたらす物流停滞は大きな試練だ。世界的な製造業の減速を受け、WTOは2023年の貿易成長予測を下方修正したばかりだ。さらにイスラエル国内の観光産業の落ち込みは為替にも影響を与える。
海外で活躍する日本のビジネスパーソンにとって、中東情勢の分析は難度が高い一方、世界のいたるところで今後起きるであろう反ユダヤ主義拡散について無知ではいられない。とくにビジネス現場でアラブ寄りの反ユダヤ主義をあおる報道、ユダヤ主義に偏った報道に左右された偏見や差別による失言、ビジネス判断ミスは高いリスクを招く。そのため、つねに高い見識を持つことが求められる。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら