北海道でゴキブリが「木にびっしり」いったいなぜ 札幌の高級住宅街の隣が"聖域"となったのか
西野さんはフェロモンによるコミュニケーションについて、ゴキブリを使って研究しているが、ゴキブリに対して抵抗感がない人が周囲にかなり多いことに気がついた。
「本州の人は一発でゴキブリだとわかるので、こちらで出合うと『ここにもいるのか!』とめちゃめちゃびっくりするみたいです。でも、北海道の人は割と温かいまなざしでゴキブリを見ている」
と、山口県出身の西野さんは語る。
「ゴキブリを見つけたら絶対に殺さないと夜も寝られない、みたいなイメージがあるじゃないですか。ところが、北海道の人は好奇心を持って、ゴキブリを手にとって見る人が結構いて、びっくりしました。何も危害を加えないんだったら、別に捕まえてもいいんじゃない、くらいの印象を持っているようです」
円山公園で爆発的に増えた理由
屋内で目にするゴキブリと言えば、本州以南では主にクロゴキブリとチャバネゴキブリである。
クロゴキブリは体長3~4センチほどで、油を塗ったような光沢が特徴。チャバネゴキブリは茶色く、大きさはクロゴキブリの半分ほどだ。
どちらも暖かい場所を好み、古代に中国大陸との往来で日本に侵入し、定着したといわれている。西野さんによると、冷涼な北海道ではどちらのゴキブリも数は少なく、目にすることはめったにないという。
一方、ヤマトゴキブリは日本の土着種で、主に屋外をすみかとする。クロゴキブリの3分の2ほどのサイズで、色はつやを消した黒といった感じだ。
世界には数千種のゴキブリが生息しているが、そのほとんどが熱帯や亜熱帯の気候に適応している。ところが、ヤマトゴキブリだけは例外で、冷涼な気候を好むのだという。そのため、沖縄には分布していない。
そして、かつてヤマトゴキブリは本州を中心に広く分布していたが、最近は生息域を北日本に狭めている。地球温暖化の影響や、体の大きなクロゴキブリに追いやられたため、と見られている。
そんなヤマトゴキブリが、なぜ円山公園に定着しているのか。