小日向文世、69歳の今思う「みっともなくていい」 自分をさらけ出して頑張っている人はカッコいい
小日向:でも、この歳になって、みっともないことも含めて、自分をさらけ出して頑張っている人もカッコいいのかな、と思うようにもなりました。見栄やプライドを振り払って、老いて衰えている部分があることも受け入れて、今の素の自分で必死にやれる人というのかな。
僕自身、自分を良く見せようとカッコつけても、どうせすぐバレちゃうな、とわかってきましたからね。だから今となっては、みっともなくていいから、周りから「一生懸命やっているな」って見てもらえる感じでいいと思っています。また、そういう人物を演じるのも楽しいですしね。
“愛すべき”ってところが、とても大事
── まさにこの『海をゆく者』のオヤジたちのような。
小日向:そう、愛すべきダメオヤジ。でも“愛すべき”ってところが、とても大事なんですけどね。実際には、こういうオヤジたちって、近くにいたら周囲の人は迷惑するかもしれないですし、現実は厳しくて、救いもないかもしれない。
だから、舞台という虚構の世界だけでも、そういうオヤジたちを愛せる、あったかい気持ちになってもらえればと思っています。
作:コナー・マクファーソン 翻訳:小田島恒志 演出:栗山民也
アイルランド演劇界をリードする劇作家コナー・マクファーソンの出世作にして代表作。2006年にロンドンのナショナル・シアターで初公演、ローレンス・オリヴィエ賞“BEST PLAY”、トニー賞“BEST PLAY”他三部門に輝く。日本では2009年、演出家・栗山民也のもとに、演劇界を代表するバイプレーヤー5人(小日向文世、吉田鋼太郎、浅野和之、大谷亮介、平田満)が集結、その丁々発止のセリフの応酬と円熟味のある芝居で話題を集める。2014年に同じメンバーで再演。今回の再再演では、吉田鋼太郎に代わって高橋克実が初参加、新たな魅力を添える。12/7〜東京・PARCO劇場を皮切りに、新潟、豊橋、岡山、福岡、広島、大阪と巡演。
1954年生まれ、北海道出身。東京写真専門学校を卒業後、1977年にオンシアター自由劇場に入団。1996年の同劇団解散まで中核的存在として活躍。解散後は、映像の場へと活動の場を広げる。2004年映画『銀のエンゼル』、2008年連続TVドラマ『あしたの、喜多善男』でそれぞれ初主演。2012年度に第19回読売演劇大賞「最優秀男優賞」を受賞、2013年度に、第86回キネマ旬報ベスト・テン『助演男優賞』を受賞。2023年10月期のTBS連続ドラマ『下剋上球児』に出演中。
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