小日向文世、69歳の今思う「みっともなくていい」 自分をさらけ出して頑張っている人はカッコいい

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写真/内田裕介(Ucci)

これまでの公演で印象に残っていること

── 3回目の上演となる『海をゆく者』ですが、まず大好評だった初演・再演で印象に残っていることを教えてください。

小日向文世さん(以下 小日向):この作品は、とにかくセリフの量が膨大で、初演はまずそれとの格闘でした。加えて5人でポーカーをする場面があって、俺はいくら賭ける、じゃあ俺はそれに上乗せして賭ける、じゃあ俺は降りる……って、テンポよくやりとりしながら芝居を進めていかなくちゃならない。それが難しくて、決まった稽古時間以外にも、集まって自主練したくらいです。

5年後に再演したときは、セリフはある程度、体に残っていたんですが、本番で、僕が酔っ払っている芝居をしているときに足元をよく見ていなくて、舞台から落っこったことがあります。すごい勢いで舞台に戻ったから、お客さんは演出だと思ったらしいですけど。幸い、すり傷程度ですんだからよかったんですが、ヒヤッとしましたね。

── さらに9年を経て再再演が決まり、どんなお気持ちですか。

小日向:再演の評判がよかったから、「もしかしたら、またやるかも」くらいは思っていたけれど、まさか実現するとはね。でもお話がきたときは、前回、前々回が大変だったこともすっかり忘れて、うれしかったですよ。こんなふうに、初演からほぼ同じ、しかも今回の公演中に続々と古希(70歳)を迎えるメンバーが、元気にまた集まれるっていうのは、すごいことだなと。皆、体の変化とか、どう感じているのかな。同世代だからこそ、ざっくばらんに話したいですね。

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