ディカプリオが新作で見せた役選びのポリシー 慎重な作品選定とノースキャンダルで演技派に
『ザ・ビーチ』が公開されたのは、『タイタニック』の2年2カ月後。その間、『仮面の男』と『セレブリティ』が公開されたが、これらは『タイタニック』公開前に撮り終えていたものだ。そこから今に至るまで、ディカプリオは、毎回念入りに出演作を選んできている。
彼が組むのはたいてい、巨匠と呼ばれる監督だ。スコセッシとは『ギャング・オブ・ニューヨーク』以来6度仕事をしたし、それ以外にはクリント・イーストウッド、アレハンドロ・G・イニャリトゥ、クエンティン・タランティーノ、クリストファー・ノーラン、サム・メンデスなどと組んできた。オスカー目当てというよりも、優れた監督と優れた作品を作るのが好きなのだろう。
主演男優賞に何度も候補入り
とはいえ、アカデミー賞にも、しっかりと6度も候補入りを果たしている。ついに主演男優賞を受賞したのは、5度目のノミネーションだった『レヴェナント:蘇えりし者』でのことだ。
『タイタニック』では、作品も、相手役のケイト・ウィンスレットも候補入りしたのにディカプリオが漏れたこと、その後も候補入りはしても受賞はしなかったことから、晴れて受賞がかなう前は、日本の映画ファンからも「ディカプリオはアカデミーに嫌われている」との声が聞かれたが、筆者は昔からそれを否定してきた。
あれだけ多くの映画がある中で5人の候補枠に入るのはすごいことで、それを何度も達成してきた彼がアカデミーから嫌われているはずはないのだ。それに、受賞にはいろいろなタイミングや要素が絡むもの。それがうまく合わさったのが『レヴェナント』だったに過ぎない。
比較すると、スコセッシとて1980年の『レイジング・ブル』で初めて監督部門に候補入りしたが、受賞したのは6度目のノミネーション(『ディパーテッド』)だ。もう何度も受賞しているように思われがちなデ・ニーロも、『レイジング・ブル』で2度目の受賞をして以来、40年以上、一度も受賞していない。
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