困難でも「なんとかなる」打たれ強さの育て方 ストレスに打ち勝つための「武器」とは何か

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このような状態のもとで仕事をクリアしていくことが良質な人生経験となって、次にもっと難易度が高い仕事がきても「なんとかなる」(処理可能感)と思えるようになり、より大きな仕事、困難な出来事にも対処できるようになります。

つまり、適度な課題を与えられてクリアしていくことによる「成功体験」が、処理可能感を高めることに大きくかかわっているのです。

処理可能感を高めるために意識したいポイントの図表
処理可能感を高めるには?(出所:『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』)

したがって重圧に耐えかねるような仕事で、結局うまくいかなかったりしたら、処理可能感を培うことにはつながりにくいと言ます。「なんとかなった」経験があるから、次も「なんとかなる」と思えるのです。

小さな成功体験を積み重ねる

一方で、「資料のコピーを100枚、15時までに」などのようなストレスのほとんどない仕事で成功しても、これもまた処理可能感を育みにくいと言えます。

大きすぎず、小さすぎないストレスのかかった仕事を経験し、うまくいくことによって育まれるのが処理可能感です。

この「成功体験」は、人に助けてもらった結果でも構いません。あるいは、座学で学んだ疑似体験であったり、人に教えてもらったりしたものでもいいのです。

例えば、一人で仕事を抱え込んでしまって終わりが見えず、「どうしよう」とパニックになっていた社員Kさんのケースです。上司から「あの仕事は、今日が締め切りでしたよね。どうなっていますか?」と聞かれて、Kさんは「実は、ほとんどできてません……」と答え、泣きつきます。

ここで上司は、「そうか、じゃあみんなで手伝って仕上げようか」と言って、他の社員に仕事をふったり、締め切りを数日遅らせたりして、テキパキと指示を出します。

「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる
『「なんとかなる」と思えるレッスン 首尾一貫感覚で心に余裕をつくる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

数日後、仕事は、同僚や先輩に手伝ってもらいながら、無事に終わりました。たしかにKさんは、自分一人では仕事が終わらず迷惑をかけてしまいましたが、みんなで無事に終わらせたことで「成功体験」「できた経験」になっています。

結果、Kさんは、「早めに他の人に助けを求めること」「わからないことは人に聞くこと」「必要なときは上司の力を借りること」などを学んでいきます。

こうした体験からも、「こうすれば、次もできる」といった「なんとかなる」感は培われていくのです。

舟木 彩乃 心理学者、公認心理師、精神保健福祉士、官公庁カウンセラー

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ふなき あやの / Ayano Funaki

心理学者(筑波大学大学院博士課程修了/ヒューマン・ケア科学博士)。公認心理師、精神保健福祉士。官公庁カウンセラー。株式会社メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長。博士論文の研究テーマは「国会議員秘書のストレスに関する研究」(筑波大学大学院専攻長賞受賞)。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁や地方自治体の メンタルヘルス対策に携わる。Yahoo! ニュース エキスパート オーサーとして「職場の心理学」をテーマにした記事・コメントを発信中。
 

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