部下には権限委譲、上司は上の役割を狙う--『35歳からの「脱・頑張り」仕事術』を書いた山本真司氏(立命館大学経営大学院客員教授、経営コンサルタント)に聞く
──その進行は、どう確認するのですか。
週に2回程度、短時間のミーティングを催す。真剣に濃いミーティングをやるとしたら1回30分で止める。その代わり、ミーティング頻度を多くする。その内容も、仮説とのズレは歓迎すべきだ。新しい発見に結び付く。この間、一心同体型で仕事ができるやり方を覚えれば、結果としてリスクは小さくなり、部下も楽しく働ける状況になる。
自分の仕事だという当事者意識を持って働いてくれ、それを経験しているうちに、仕事がうまく回るようになる。事の順調さはメンバーの顔を見ればわかる。そういうモードにシフトを組む。
──最近の若い人は冷めているともいわれます。
草食系とか、若い人の元気がなくなったとかいわれる。むしろ書類づくりは、最近の若い人はよくできる。ロジカルシンキングなどの技法も器用にこなす。ただ、何事にも熱意が入っていないように見え、ひととおりのことを機械的にやりがちだ。
なぜなのか。競争が厳しいことはよくわかっているので、つねに上司の評価を気にする。1回でもネガティブ評価がついたら終わり、と思っている。だから、上司に完全服従しなければいけないという潜在意識があるようで、無難な答えが返ってくる。
──「指示待ち族」ですか。
彼らは一見使いにくい。上司は彼らの立場になりながら、細かく気を使うことだ。まずその自己防衛意識をぬぐい去る。それにはコミュニケーションが何より大事だ。
ミーティングでも、最初は周りの人を気にして意見を言わない。ここでバカなことを言って評価を悪くしたくないという意識が先行する。最初のミーティングは長めにして、ここから1時間好きなことを話していい、出てくる意見はロジカルでなくても、バカらしくてもいい、それを評価には反映させない、と「棚上げ宣言」して始めたい。
しかも彼らは、何かアイデアを出すと自分の仕事が増えかねない、と考えがちだ。その結果、守備範囲が広くなるとどうしても評価が悪くなるから、黙っていたほうが得と考えてしまう。これに対しては、後から仕事を再分配すると宣言して、「やぶへびリスク」をなくすことだ。