なお、新型のターボ車では、前後サスペンションの減衰力なども変更。スプリングの振動を収束するダンパーの力を最適化したことで、より踏ん張り感がある乗り味となっている。それでいて、路面のうねりや凹凸のある場所では、サスペンションがよく動いてくれるため、車体が揺れるような挙動も少ない。より安定性が向上し、さらに心地よい乗り味となっている。
N-BOXカスタム(FF)の高速道路走行
高速道路を走ってみると、合流時や法定速度までの加速も必要十分で、軽自動車としてはかなり余裕の走りだ。もちろん、例えば、1.5Lや2.0Lなど、より排気量が大きい乗用車と比べると、N-BOXのエンジンは658cc・水冷3気筒だから、加速力が落ちるのは確かだ。だが、とくにターボ車の場合は、軽自動車として考えれば、十分なパワーだといえるだろう。高速クルーズなどでも、あまりストレスを感じずに、巡航速度まで到達し、それを楽に維持していける。
また、曲がり方が比較的ゆるめのコーナーなどを、ある程度の高い速度を保って旋回する場合も、前述のモデファイを受けた前後サスペンションがしっかりと踏ん張るため、車体の安定性が高い。ただし、試乗日は、かなりの強風だったため、横風により車体が振られることもあった。この点は、背が高い軽スーパーハイトワゴンでは、ある程度しかたないところではある。だが、それでも、横転しそうになるほどの大きな車体の挙動はなかったため、走行中に不安を感じることはなかった。天候や路面状況によっても多少変わるだろうが、高速道路でも、安心感は高い部類に入ることがうかがえる。
ひと昔前であれば、軽自動車は、メインとして使う乗用車の次に選ぶセカンドカーというイメージも強かった。だが、ホンダの担当者によれば、N-BOXは「(軽自動車ながら)ファーストカーとして購入するユーザーも多い」という。たしかに、この性能なら高速道路を使ったロングドライブもかなり楽だ。自宅近くの買い物や通勤などだけでなく、家族4人でレジャーに出かけることもできるだろう。近年、一家に1台のクルマとして、N-BOXが選ばれている理由がよくわかる。
しかも、燃費性能ももともと高く、先代モデルでも、ターボ車FFの場合で、WLTCモード値20.2km/L(4WDは19.0km/L)を誇る。なお、新型モデルのパワートレーンは、先述のとおり、先代モデルと同じ型式のため、出力なども同様だ。だが、燃費性能はやや向上しており、ターボ車のFFでWLTCモード値20.3km/L(4WDは18.4km/L)を実現。FF車の燃料タンク容量は27L(4WD車25L)だから、カタログ数値上でいえば、1回のガソリン満タンで500km以上を走れる計算だ。航続距離が長いことも、このモデルが大きな支持を受ける要因のひとつだろう。
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