ちなみに、新型N-BOXでは、前述したスロープ仕様車にも、装備のアップデートが行われている。とくに、車いすを載せたり、降ろしたりするときに便利な電動ウインチに、進路補正機能を追加していることが注目だ。これは、例えば、車いすを載せている最中に、車両の向きが斜めになってしまっても、自動で真っ直ぐに補正し、そのままスムーズに荷台へ載せることができる機能だ。車いすを荷台へ引き上げるには、車いすのフレーム部などに2本のウインチベルトを固定し、それらを2基の電動モーターで巻き取るのだが、新型はこのモーターを改良。車いすの向きが斜めになった際に、斜めになったほうのモーターだけ回転速度を上げることで、向きを補正する仕組みを採用している。
キャンプなどでの活用もアピール
ちなみに、余談だが、こうしたスロープ仕様車は、福祉車両としてだけでなく、例えば、キャンプに行く際に、重い荷物やキャンプ用品などを満載した車輪付きカートなどを積載するときにも便利だ。スロープや電動ウインチを使えば、積み下ろしがとても簡単になる。福祉車両というと、どうしても「障害者や高齢者を介護するクルマ」といったイメージが強いが、使い方次第では、より多様な用途に対応するのだ。今回の試乗会では、そうしたスロープ仕様車をキャンプ用途に利用するデモも実施され、スロープ仕様車のさらなる普及などをアピールしていた。
なお、新型モデルのスロープ仕様車は、すべてNAガソリン車で、価格(税込み)は184万4000円~218万8000円。先代モデルの価格(税込み)が166万5000円~216万円だったため、最安グレードであるスタンダードのFF車で17万9000円アップ。もっとも高いカスタムの4WD車では2万8000円アップとなっている。
新型でも販売台数をキープできるか
N-BOXは、2011年に登場した初代モデル以来、広い室内や使い勝手のいい装備などにより、市場から大きな支持を受けてきたモデルだ。とくに独自の「センタータンクレイアウト」を採用してきたことも大きな特徴。通常は後席や荷室の下にある燃料タンクを前席下へ配置するこのレイアウトにより、室内のフロアを低く設定でき、高い天井や、大人4名でもゆったりと座れる余裕ある室内空間を実現する。
また、2列目シートの背もたれをすべて倒せばフラットな荷台にもなるなど、豊富なシートアレンジも実現する。そして、N-BOXのこうした優位性は、3代目となる新型モデルにも継承されたうえで、今回紹介したような改良や変更が行われている。いわば、長年支持されてきたいい面を残し、より熟成したのが新型モデルなのだ。
N-BOXは、先述のとおり、幅広い層がファーストカーとして選ぶクルマだけに、乗用車に負けないほどの快適性や乗車中の安心感なども重要なクルマだ。今回の新型に投入された数々のアップデートが、そうしたユーザー嗜好にうまくマッチし、今後も「日本一売れるクルマ」の座をキープし続けられるのか、今後も注目だ。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら