上場企業で社内賞・昇進も退職、38歳で再入社の訳 上場企業から婚活ベンチャーへ…得た学びとは

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それから数年が経過し、会社にとっていなくてはならない存在のひとりになっていた。当時、社内賞を受賞し、マネージャーに昇進。しかし、役職が上がっていく中で、次第にキャリアへのモヤモヤが浮かび上がっていった。

「全社の各部署から相談を受けて、課題を聞いていく中で、会社の認知度をあげていく必要があると感じていました。ただ、そうなると自分に足りていない経験や知識がまだまだあると気づいて。例えば、もしテレビCMを出すとなると、いちWebマーケティング担当の自分には判断ができない。自分が今までやってきた領域だけではなく、もっと大きな規模感でマーケティングを考えていきたいと思うようになっていきました」

当時、30代半ば。自分自身が思い描いている理想に対する距離を感じていた。そんな中で、新たなきっかけが訪れることになる。

「ある日、LinkedInにヘッドハンターから、”婚活関連で成長中のスタートアップ企業があります。一度、話を聞いてみませんか”というメッセージが届いていたんです。当時、婚活市場は盛り上がっていましたし、転職をするうえで重視していた”経営に近い場所でマーケティングの仕事をすること”ができる。加えて、副社長がエンジニア界隈で知名度のある方ということも興味を持つポイントでした」

そこからは、ハイスピードで物事が進んでいった。社内で活躍を期待されていたため、会社からは引き止められたが、自分の意思を貫いた。

「面談をしてから、辞めるまでの期間は2カ月くらいだったと思います。『これから面白くなるってときに、辞めちゃうの?』なんて声もかけてくれましたが、明るく送り出してくれました」

C&R社を退職、婚活事業を営む会社に転職

こうして、2018年12月にC&R社を退職。翌年1月に、婚活事業を行っている会社に入社することになる。転職までは順調にことが進んでいたのだが、時期が悪かった。

「マーケティング専任担当の一人目として入社しました。僕自身がマッチングアプリで結婚したこともあって、身近に感じていたんですよね。ビジネス構造が人材業界と近いことにも気づいて、自分の経験を活かせるとも感じていました。ですが、コロナ禍に入ってしまって……。婚活イベントなどを一旦ストップせざるを得ない状況になったんです。今でこそ、対策はとれますが、当時はまだまだ先行きが不透明で。売り上げもほぼ見込めない状態になっていました」

当時、同じように先行きの不透明さを感じていた読者も多いのではないだろうか。企業としても、次の一手をどうするか、事業をどのように推進していくか、難しい判断を迫られる状況だった。もちろん、青木さんが在籍していた会社でも、さまざまな取り組みを試行錯誤した。

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