「まだできない?」と叱る親に教えたい"人生時計" 「子どものうちに」仕上げる必要はどこにあるのか

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私が長年多くの子どもたちを見てきて思うのは、そんなに焦ったり慌てたりする必要はないということです。というのも人生は長いからです子どものうちに完璧に仕上げる必要は全くありません

ですから、子育て中の親御さんたちはもっと長い目と広い視野で、俯瞰的に見ることが必要だと思います。そこで、役に立つのが「人生時計」です。これは、私が教師だったころ懇談会のときなどに紹介してきたものです。

人生時計とは、人の年齢を1日の中の時刻に置き換えることで、現在の位置をよりよく理解しようとするものです。

100歳が24時とすると、小・中学生は…

今の子どもたちは100歳まで生きる可能性が高いと言われていますので、100歳が24時ということにしたいと思います。ですから、50歳の人は一日に置き換えるとお昼の12時ということになります。25歳が朝の6時で、やっと夜明けの時間帯です。

では、子どもたちは今どの辺りにいるのでしょうか? 実際の1年が人生時計では14.4分に換算できるので、細かく見ていくと次のようになります。(端数は四捨五入)

1歳        0時14分
2歳        0時29分
3歳        0時43分
4歳  年少    0時58分
5歳  年中    1時12分
6歳  年長    1時26分
7歳  小学1年生  1時41分
8歳  小学2年生  1時55分
9歳  小学3年生  2時10分
10歳  小学4年生  2時24分
11歳  小学5年生  2時38分
12歳  小学6年生  2時53分
13歳  中学1年生  3時07分
14歳  中学2年生  3時22分
15歳    中学3年生  3時36分
16歳  高校1年生  3時50分
17歳  高校2年生  4時05分
18歳  高校3年生  4時19分


25歳        6時00分

この人生時計を見ると、子どもたちはまだ一日が始まったばかりのところにいることがわかります。4歳の年少児はまだ0時58分のところで、7歳の小学1年生の子が1時41分です。小学6年生が2時53分で中学3年生が3時36分です。

つまり、子どもたちはまだ深夜の時間帯にいるわけで、夜明けすらずっと先のことです。毎日の生活でこんなに早く起きる人はいないはずですし、みんな熟睡状態なのです。

ですから、子どもがやっていることがしょうもないことだらけといっても、それは寝相が乱れているのと同じようなものです。「反抗期で言葉遣いがひどい」といっても、それは寝言なのです。寝言に腹を立てても仕方がありません。

片づけができないからといって嘆く必要もありません。いま勉強ができないからといって、その子の人生を決めつける必要もありません。今、引っ込み思案で困るとか忘れ物が多くて心配だなどといっても、それがいったい何ほどのことがあるでしょうか?

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