ソニーにチャンス到来「AI再参入」へ3つの勝ち筋 日本企業に波及「AI汎用化」のパラダイムシフト
問題はこの先で、スマートスピーカーは間違いなくペットロボットの領域を浸食していきます。スマートスピーカーが持ち主の一番の話相手になり、さらに手足がついて持ち主の後をついて家じゅうを歩き回るようになれば、それはaiboの競合品です。
一方で、その逆もありです。aiboがペットではないコンセプトの別商品を出して、人間の声でしゃべって家の中を歩き回って、家電製品のON/OFFを担当してくれて、天気予報を教えてくれたら、それはスマートスピーカーの領域です。
アマゾンはこのスマートスピーカーにすでに1兆円を投資してきたのですが、日本企業にとって幸いなことに、今のところは成功していません。ということはアマゾンが耕してきたスマートスピーカーの世界市場を、後発企業が刈り取ることが可能な状況です。
そう考えるとaiboのブランドと技術をベースに、aiboではない新商品を出していくというのはソニーグループとしては本格的なAIへの参入の2つ目の登り口になるのではないでしょうか。
ソニーミュージックの独自性
さて、私個人としてはこれからお話しする3つ目の参入方法が、ソニーグループにとっては一番面白いのではないかと思う入り方です。ソニーミュージックによるAI参入です。
先ほどの近未来のスマートスピーカーの話の延長の話になりますが、要するにこの先、私たちはAIと会話を日常的にするようになるのです。アマゾンやグーグルはアンソロピックと提携することでエコーやネストといったスマートスピーカーにこの機能を組み込むでしょうし、マイクロソフトはオープンAIとの提携で、BingやOffice365を音声で操作できるAIアシスタント機能を組み込むでしょう。
そこで次の段階では、このAIアシスタントにいずれ個性が誕生します。
皆さんにイメージしていただくのにちょうどいい人工知能があります。三菱地所レジデンスが導入したモデルの冨永愛さんのデジタルツインである「冨永AI」です。このデジタルヒューマンの冨永AIさんは冨永愛さんの特徴を取り込んだ分身モデルです。
ここが一番興味深い点なのですが、冨永愛さんと違い、冨永AIさんは無限に増殖できます。三菱地所によると、マンションのモデルルームを訪問するお客様一人一人に対して、特別な説明を冨永AIさんにしてもらうことができるようになるといいます。
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