ソニーにチャンス到来「AI再参入」へ3つの勝ち筋 日本企業に波及「AI汎用化」のパラダイムシフト

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私は未来予測を専門とする経済評論家です。未来予測の能力を高めるためのトレーニングの一つが、このような思考実験だと考えています。読者の皆さんもこういった訓練はスキルアップにつながりますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

今回の記事は、AIに関わるさまざまな世界情勢についての情報をベースに「どうするソニー?」という切り口で私が独自に模索した参入方法について書いてみたいと思います。ちなみにソニーグループを現在率いている十時裕樹社長は、新しいものに着手するスピードがとても速い経営者です。すでに私の思考を超える手を打っているだろうと思っています。

ソニーホンダは日本車メーカーの先端

さて、私独自の結論としてはソニーグループには3つの有力なAIへの参入方法があると考えました。ソニー・ホンダモビリティ(ソニーホンダ)と「aibo」、そしてソニーミュージックです。順に解説しましょう。

ソニーグループの十時裕樹社長(撮影:今井康一)

自動車の世界は今、急激にAIで変化しています。2023年時点では車の性能を左右するのはSDV(Software Defined Vehicle)という概念で、一言でいえばソフトウェアをアップグレードすると性能が上がる車のことです。

SDVの概念ではアメリカのテスラが世界の先端を行っているのですが、それを中国勢が追っています。細かいところは省きますが、伝統的な自動車メーカーよりも一からEV車を作る企業のほうがSDVの波には乗りやすいのです。

中国ではNIOや小鵬汽車といったEV企業がSDVの仕組みをエヌビディアから購入してフォルクスワーゲン(VW)やフォードなど伝統的な自動車メーカーをかえる跳びで凌駕しようとしています。

そこでソニーホンダなのですが、「AFEELA(アフィーラ)」と命名されたプロトタイプ車では最初からSDVのアーキテクチャーでの開発が進んでいる様子です。

心臓部となるECU(エレクトロニックコントロールユニット)には、通信速度が世界最速といえるクアルコム製のパーツを採用しています。AIがアップグレードされるたびに車の性能が上がるという点で、ソニーホンダは日本車メーカーの先端に位置します。

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