日本だけじゃない!中国で拡大する「ペット市場」 消費の牽引役は「孤独(おひとりさま)」層

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また、中国民政部のデータによると、2018年の単身若者人口は約2億4000万人で、そのうち7700万以上もの人が一人暮らしをしています。これは中国で「空巣青年(一人暮らしをする若者)」という言葉が登場した理由でもあります。

一連のデータは中国における人口動態と社会構造、価値観や考え方の変化を明確に示しています。非婚主義や「空巣青年」は社会現象となっているだけではなく、新たな消費潮流も起こしつつあるのです。

アメリカ調査会社のニールセンが2020年に公開した「中国単身経済報告」は、単身者や一人暮らしの人口増加に伴って、その購買力が注目されるようになっていると強調しています。いわゆる「おひとりさま」の存在感が増して新たな消費勢力となり、中国では「孤独消費」と名付けられています。

「孤独=さびしい」ではない

「孤独」と言うとさびしさの同義語のような印象がありましたが、昨今の変化でそのイメージは覆されたわけです。ドラマ「孤独のグルメ」の名場面と言えば、主人公が一人で食事を楽しんでいるところでしょう。孤独消費という言葉やそれにかかわる商品・サービスには、「一人でも楽しく過ごせる」というポジティブな消費の雰囲気を醸し出す狙いがあります。

実際、近年は一人用の消費需要を満たすモノ・サービスが様々に作り出されており、関連市場が拡大しています。一人用の食べ物、小型家電、一人でも気軽に入れるレストラン、一人用の旅行プラン、様々な付き添いサービスなど、枚挙にいとまがありません。

孤独消費の最大の特徴は、消費者が自分を楽しませるための、自分を中心とした消費意欲と消費行動だという点でしょう。孤独消費者層のニーズは主に自分への投資、パートナーの代替的な存在にあると考察できます。

「おひとりさま」は自分らしく生きるために、仕事に励み、仕事以外の時間を習い事や自分の趣味に充てて、充実の人生を送ろうとしています。外見と内面の両方から自分磨きのための投資を惜しまない人が多いのです。

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