パナ「共働き支援アプリ」を生んだAI専門家の深慮 元グーグル"ヨーキー"が考えるAIと人間の役割
ところが仕事の合間には、子どもたちから「ママ、インターネットがつながらない」「ママ、テストを受けるのに端末が動かない」と声がかかって、まるで自分がテックサポートになったかのような状態に。
ミーティングの合間には、本当なら次の会議のキャッチアップをしたいのに、それすらできない。1日の中で隙間時間がまったくなくなってしまった。
隙間時間がないと、家の中のTo-doリストはどんどん溜まっていくばかり。「もうこれは健康どころではない。私の生活そのものがちっとも前に進まないじゃないか」と。そこで生まれたのがヨハナだった。
――日本の共働き家庭では最近になって家事代行を利用する人が珍しくなくなってきた印象があります。一方、ヨハナが月額1万円の通常料金内で提供するのは、家事代行サービスの対象にすらならない、ちょっとしたタスクに対するサポートです。「名もなき家事」に市場はありますか。
ヨハナで実際に多く寄せられる依頼としては、食事の献立を考える、レストランを選ぶ、子どもの教育関連の情報収集、週末に子どもと出かけるときの予定を立てる、などがある。どれも難しいタスクではないが、溜まっていくとどんどん頭の中が重くなっていく。
ヨハナでは(追加課金すれば料理や掃除などの)家事代行もするが、家庭内には家事ですらないちょっとしたタスクが大量に存在している。
なぜ人間が対応するのか
――実際にヨハナを触って意外だったのは、生身の人間とのやり取りがサービスの中心になっていることでした。松岡さんはロボット工学やAIの専門家なので、もっとAIを全面的に活用しているのかと想像していました。
自分はグーグルの研究開発部門であるグーグルXの共同創業者なので、アメリカでもよく驚かれる。
なぜヨハナでは人間が対応するのか。それは、テクノロジーをよく知っているからこそ、お客さまが本当にやってほしいことをテクノロジーだけで実現することはできないと気がついたからだ。
一方で、お客さまからは見えないサービスのバックエンドではAIをどんどん用いている。とくに生成AIは、いくつも。
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