メタがGAFAMの中で異質の「AI戦略」を貫く真意 コミュニティの会社ならではの独特なバランス
メタ・プラットフォームズが、フェイスブックから社名を変更して間もなく2年。彼らが目指すゴールのようなものが、ようやく見え始めた。
メタは10月10日、“金食い虫”とも指摘されてきたメタバース事業の中核製品である、複合現実(Mixed Reality)対応ヘッドセット「Meta Quest 3」の販売を始めた。499ドルと低価格で、主にゲームやコミュニケーションなどでの個人ニーズを満たす、コンシューマー向け端末だ。
この端末を評価するだけでは、技術イノベーションに対する彼らの戦略を理解することは難しい。
Quest3の詳細は、9月27日から2日間開催した開発者向けイベント「Meta Connect」で明かされた。Meta Connectでは、同社が開発したLLM(大規模言語モデル)「Llama2」を用いたAIサービスと、新たに発表した画像生成AIの「Emu」を、MessengerやInstagram、WhatsAppなどの自社のメッセージングサービスに応用した例を発表。それらのサービスで利用できるスマートグラスなども発表している。
アメリカのテックジャイアントの一角であるメタは、将来をどのように見据えて、AI、メタバースの領域での技術開発を進めているのか。
2023年に入って様変わりした市場評価
GAFAM、FAANGなど、アメリカのテックジャイアントたちをグループ化する呼称は多々あるが、メタ株は2022年、それら銘柄の中で最もパフォーマンスが悪く、実に時価総額の3分の2近くを失っていた。
ところが2023年になるとメタ株をめぐる評価は様変わりし、年初から155%以上の上昇を記録。テックジャイアントたちの中では最も好調だ。
2022年の大規模リストラを経て、事業の足元を固めた結果が評価されたことに加え、雪崩のように下がった株価の割安感が買われて人気銘柄となったわけだが、筆者の興味はメタの技術開発の方向性にある。技術開発の戦略は、会社の数年後の姿を暗示している場合が多いからだ。
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