鈴木宗男氏「除名」で腰砕けになった維新の迷走 「離党」で処分を見送った馬場執行部の軽量ぶり
ロシアのウクライナ侵攻後、初めて国会議員として訪ロし、現地でのロシア寄りの言動で批判された日本維新の会の鈴木宗男参院議員(国会議員団副代表)が10月10日、同党が決めた「除名処分」を、機先を制して自ら離党して発動させなかったことが、永田町で波紋を広げている。
わざわざ党役員会で確認した鈴木氏への厳しい処分を、同氏への伝達の際の「離党」届を受理することで、あっさり見送らざるをえなかったのが馬場伸幸代表。「海千山千の鈴木氏の“肩透かし戦術”に腰砕けになった」(維新若手)とされる迷走ぶりに、党内から「馬場執行部の統治能力が問われる」(同)との批判も相次ぎ、政治的ダメージは避けられそうもない。
「ロシアの勝利を確信」発言に吉村氏が怒り
今回の騒動は、鈴木氏が10月1日から5日までの日程でロシアに渡航し、その際、ロシアメディアへ寄せたビデオメッセージで「ロシアの勝利を確信している」などと発言したうえ、訪ロについての党内の事前届け出を怠ったことから、維新の国会議員団が「重大な規律違反」などと問題視したことが発端。
鈴木氏の帰国を受けた6日、維新の実力者で共同代表の吉村洋文大阪府知事が「党の考え方とは明らかに違う。厳しい処分をすべきだ」と怒りを隠さず、藤田文武幹事長も会見で「ロシア政府に利用される発言や行動は非難の対象になる。結果の重大性は免れない」と指弾した。
これを受け、維新は10日昼の持ち回り常任役員会で鈴木氏の除名処分を決定。最終的対応を一任された馬場、藤田両氏が午後に国会内で鈴木氏と協議した。ただ、鈴木氏が「透明性確保」を理由に記者団を引き連れ、弁護士の同席も求めたため、協議は冒頭から紛糾。
結局、馬場氏が「党内の話し合い」を理由に記者団を締め出して協議を始めたが、鈴木氏が「離党届」を提出し、馬場氏もその場で受理を決めた。その結果「党として離党した議員への処分はできない」との理由で除名処分発動は見送られた。
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