"SNS売れ"するコスメに学ぶヒットのメカニズム 「バズったのに売れない」商品にしないために
そうしたSNSでの話題化に大きな影響を与えてきたのが、美容系インフルエンサーの存在です。
その昔、美容家といえばその主な活動場所はテレビや雑誌でしたが、ブログが登場したことで「美容ブロガー」が生まれ、その後のSNSトレンドにともない、YouTubeやInstagram、X、TikTokとその活躍の場はどんどん広がり、影響力も増していきました。
この流れは2020年頃から一気に加速します。元美容部員や化粧品開発職など、美容を本業としている人がプロの視点で情報発信をするようになり、注目を集めたのです。
SNSで「バズる」難易度が上がった
これまでのバズは「ユーザー視点」の情報が中心でしたが、「作り手視点」の情報もSNSで拡散されるようになっていったのです。
これにより起きたのが「成分ブーム」です。これまでにも化粧品に使われる特定の成分がトレンドとなり、それを訴求した商品がヒットするということはありましたが、昨今の成分ブームはメーカー起点ではなく、美容系インフルエンサー起点でありユーザー起点であるという違いがあります。
美容系インフルエンサーが自発的に成分について発話し、議論を投げかけ、そうやってその成分に対する発話があらゆるSNSプラットフォームで連鎖的に話題となる。例をあげると「レチノール」や「ナイアシンアミド」といった成分がこうしてトレンドとなりました。
そして成分ブームに次ぐ2021年以降の新たなバズコスメトレンドは、「脱・コスパ」です。これまでSNSで話題となった化粧品は「〇〇が入っているのにこの値段」「デパコス並みのクオリティーなのにプチプラ」といったように、コストパフォーマンスの良さがフォーカスされたものが大半でした。
ところが、コスパを話題にした投稿があまりにも増えたため、「コスパだけ」ではもはや見向きもされず、そこに機能性や新規性・世界観などといった「+α」がないと実際の売り上げにつながるような「バズ」は生まれなくなってきています。
これはつまり、「SNSで話題」にすることの難易度が上がっているとも言えるのです。
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