経済学とその他の社会科学の違い、言えますか? 経済学者がよく使う「合理的行動」の意味とは
最適化は経済学の第1の原理だ。経済学では、私たちの選択のほとんどは最適化で説明できると考えている。
これには、映画に誘われて、行くかどうかという小さな決断から、誰と結婚するかといった大きな決断まで含まれる。
2. 均衡 経済学の第2の原理は、均衡である。
経済システムは均衡に向かう傾向がある。均衡とは、そこから行動を変えることで便益を得る人は誰もいない、という状態のことである。
各経済主体が、別の行動をとっても自分の状況は良くならないと信じているとき、経済システムは均衡にある。
言い換えると、均衡とは、みなが同時に最適化している状態である。
3. 経験主義 経済学の第3の原理は、経験主義である。
経済学はデータを使った分析、あるいは根拠に基づく(エビデンス・ベースの)分析だということだ。
経済学者は理論を検証したり、世の中で起きたことの要因を分析するためにデータを活用する。
合理的な行動とは
ではここで、第1の原理をさらに詳しく考えていこう。
経済学とは選択の学問であり、選択がどのように行われるかを示す理論である。経済学では、経済主体は最適化を試みると考える。
すなわち、経済主体は利用しうる情報をもとにして、「実現可能」な最善の選択肢を選ぼうとする、と考える。
ここで実現可能とは、予算の範囲内にあってかつ実際に選択しうる、という意味だ。財布に現金が10ドルしかなくて、クレジットカード、デビットカード、キャッシュカードのいずれも持っていないとしよう。
このとき、ランチに5ドルのビッグマックを食べるという選択は実現可能だが、50ドルの牛ヒレステーキを食べるという選択は実現可能ではない。
実現可能性という概念は、その経済主体の金銭的予算だけでは決まらない。それ以外の制約もたくさんある。
たとえば1日24時間を超えて働くという選択肢はとれないし、ニューヨークと北京の2つの会議に直接同時に参加するのも不可能だ。
最適化の定義には、(選択時に)「利用しうる」情報をもとにして、という表現も使われている。
たとえば、サンディエゴからロサンゼルスまで車で移動しているときに、飲酒運転の車にぶつけられたとしよう。これは、運が悪かっただけであり、最適化に失敗したとみなす必要はない。
自動車事故はありうるという現実的リスクも考慮に入れて旅行の計画を立てたのであれば、あなたは最適化行動をとったことになる。
最適化とは、将来を完璧に予見することではない。最適化とは、意思決定の際に可能性のあるリスクを考慮に入れることである。
利用しうる情報をもとにして実現可能な最善の選択肢を選ぶとき、その意思決定者は合理的である、あるいは、合理的に行動したと経済学では表現する。
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