ニチガス、東京ガスのシェア奪取へ前進 電気とガスのセット販売で東電と提携交渉

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一般的な家庭向けの小売り自由化は2016年スタートだが、マンションは管理組合と一括契約するなど、すでに競争ができる環境になっている(写真:YsPhoto / PIXTA)

すでにニチガスは昨年12月から、自由化済みの大口分野で電力とガスのセット販売を開始している。5月14日時点で、製造業や病院、商業施設などと34件の契約を結んでおり、うち11件で実際の販売を始めている。

マンションなど集合住宅への営業も積極化しており、2015年度中に契約件数を100件以上に伸ばす方針を掲げる。

「われわれの最大の強みは、競争環境下で営業の経験のある人的リソース」と和田社長は言う。もともと小売りが自由化されていながらも共存共栄の暗黙ルールがあったLPガス業界で「糾弾されながらも自由競争を標榜してやってきたから早く改革できた」(和田社長)。同社の従業員のうち、実に3分の2は営業担当だ。

自由化で先行した米国テキサス州やオーストラリアにおいて、ゼロから電力・ガス事業を立ち上げた実績もある。「人的リソースというのは、一朝一夕に作り上げることはできない。だから、負けるわけにはいかない」(同)。

「ほかのガス会社とも手を組む」

ニチガスは、神奈川県を地盤にLPガス販売と水宅配を手掛ける、中堅のアクアクララレモンガスホールディングスとの間でも、事業統合を視野に入れた業務提携を検討中である。

和田社長は「いまはまだ細かいところまでは言えない」と明言を避けたが、「各地のエネルギー事業者との協業は重要」とし、東電などの原燃料・発電事業者との垂直統合のみならず、ガス事業者同士の水平統合についても、引き続き追求していく姿勢を見せた。

電気、ガスの小売り全面自由化による、激しい価格競争と陣取り合戦を控えて、各社が連携を急ぐ。大手企業とて安穏とはしていられず、今後もさまざまな再編・提携が続くのは間違いない。

中村 稔 東洋経済 編集委員
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