簡単なのに「9割の人が間違える」東大の入試問題 「一見簡単、でも解けない」理由はある力の欠如
さて、問題に戻ります。「三日坊主」は、要するに「飽きっぽい」ことを指すと思います。簡単に諦めてしまって、物事を継続的に続けるのが苦手な状態を指して、「三日坊主」と表現することでしょう。
日数について触れる必要はなくて、もし強いて入れるなら「短期間で」というくらいでいいと思います。「3日」じゃなくていいわけです。
東大生に実際にこの問題の答えを求めると、シンプルにこんな回答をしていました。
「give up easily(諦めやすい)」
「the person with no perseverance(忍耐力がない人)」
三日坊主の意味を抽出して、「忍耐力のない」とか「諦めやすい」と解釈した回答をしているわけです。これ、「簡単すぎる」と思うかもしれませんが、「簡潔に」と問題文に書いているので、これでも正解になる可能性が高いでしょう。少なくとも、「3日で飽きる」と書いている人よりも評価されるはずです。
抽象化の能力は「一を聞いて十を知る」に通じる
さて、この問題を通して東大が受験生に聞きたかったのは、「具体的な例から抽象的な部分を抽出する能力の有無」だと思います。
相手の話を聞いて、きちんと抽象化して理解できるかどうか。
これを問う問題だったのです。
この能力は、「一を聞いて十を知る能力」と言っていいものだと思います。何か具体的な話を聞いて、そこから抽象的に膨らませて、自分の糧にする。そういう能力だと言っていいでしょう。
ちなみに、冒頭で「東大はことわざを題材にすることが多い」という話をしましたが、その理由として1つ考えられるのが、「ことわざは抽象化を求めるものだから」です。
「猿も木から落ちる」って、猿が木から落ちることを語りたいわけではないですよね。「猿のような木登り上手の動物であっても、木から滑り落ちることがある」ということを述べています。「犬も歩けば棒に当たる」は、犬が歩いていて棒に当たったことを指しているわけではなく、「じっとしていればいいのに、余計な行動をして、災難にあってしまうことがあるから、余計なことはしないほうがいい」という意味ですよね。
このように、ことわざは物事を抽象化して理解するのに最適な教材だと言えるのです。
いかがでしょうか? この記事も、三日坊主を「3日」と考えてはいけないという具体例から、勉強以前に「具体→抽象」の能力が必要だという抽象的な教訓を紹介させていただきました。ぜひ参考にしてみてもらえればと思います。
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