中国の「戦争リスク」南シナ海で高まっている背景 フィリピンの「対中強硬策」で緊張は次の局面に
バイデン政権はこれを良い知らせと見なすだろうが、こうした抵抗に対する中国の反応や、中国とフィリピン、海軍の艦船が地域を巡回しているアメリカを含む同盟国との間で直接的な軍事衝突が勃発するリスクをめぐって、南シナ海地域の不安は高まっている。
中国外務省の報道官は26日、「フィリピンに挑発や問題を起こさないよう忠告する」と述べ、フィリピンの声明を即座に一蹴した。
中国の元軍人で軍事評論家の宋中平は、「アメリカが南シナ海で中国と対峙するようフィリピンを促し続けてきたために」フィリピンは調子に乗って障害物を切断した、と語った。
「フィリピンの挑発を終わらせるために、中国は断固とした行動をとらなくてはならない」と宋は言う。
国際法無視の中国が広げる実力支配
中国は南シナ海の90%に対し領有権を主張し、その範囲は本土から数千マイルも離れた場所や、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、インドネシア、フィリピンに取り囲まれた海域にも及ぶ。
過去10年間ほどは、パラセル(西沙)諸島とスプラトリー(南沙)諸島という2つの島々に前哨基地や滑走路を建設したり増強したりすることで軍事的な足場を広げ、南シナ海での実力支配を一段と強めてきた。