かつて一世風靡の「エレッセ」、存続かけた大刷新 テニスウェアらしくない「斬新カラー」で勝負

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その分、価格設定も高くした。プレー用の半袖シャツを例にとると、主要ブランドの中心価格帯が7000〜9000円台なのに対し、エレッセは1万円以上のものが大半。もともと安価な商品を売るブランドではなかったが、より高価格帯にシフトし、高くてもおしゃれで上質なものを求める層へ明確にターゲットを絞った格好だ。

消費者の反応は「正直、賛否両論」

気になる消費者の反応を尋ねると、重松氏は苦笑いしながら、「正直、賛否両論です」。あまりの変わりように長年のエレッセユーザーからは戸惑いの声が上がる。一方、「30〜50代の女性を中心に着るものに強いこだわりを持った人たちからの反応がいい」(重松氏)。

購入者の7割が女性で、まずカラーに惹かれて商品に関心を持ち、購入に至るケースが多いという。

ゴールドウインで社内の全ブランドを統括する事業本部の野村一哉・副本部長は、今はまだ売り上げを気にするような段階ではないと話す。「新しい市場を創出するという決意を持ってリブランディングした。生まれ変わったエレッセを1人でも多くのテニスファンに知ってもらう。まずはそれが一番の優先課題だ」。

恵比寿ガーデンプレイスに並ぶ、ブランド刷新後のエレッセの商品
販路が限られるため、消費者が実際に商品を目にできる場として、商業施設などで期間限定の展示を行っている(記者撮影)

長年の不振が続く過程でブランドの直営店はなくなり、卸先も大幅に絞ったため、現在の主販路は公式オンラインと冒頭のウインザーラケットショップなどに限られる。

そこで大都市の商業施設で期間限定の展示を行い、商品のPRに努めている。こうした地道なマーケティング活動に加え、来シーズンからは徐々に専門店など小売店でのコーナー展開を増やしていく予定だ。

重松氏は言う。「下手をするとブランドがなくなる、そういう危機感はつねにある。でも、そればかり気にしていたら思い切ったことは何もできない。恐れずに、新しいことにどんどんチャレンジしていきたい」。

事業の存続をかけて思い切ったブランド刷新に踏み切り、独自の路線を打ち出したエレッセ。ブランドが提案する新たなウェアは、はたしておしゃれなテニス愛好家のハートをつかめるか。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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