「ジブリ電撃買収」を決めた日テレが背負う重圧 後方支援を強調するが次世代育成に課題も

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過去にジブリ作品の制作に携わったとある関係者によると、鈴木氏は2000年代前半時点から収益の安定化などの目的でテレビシリーズの制作を志していたという。しかし、制作期間の延長などで映画作品に切り替えられた結果、テレビシリーズが制作されることはなかったようだ。

ジブリの得意手法はなじみづらい?

テレビシリーズを制作するうえでは、ジブリ固有の課題も横たわる。

業界関係者によれば、近年のテレビアニメシリーズでは各話の演出担当が実質的な監督として制作をとりまとめるのが一般的とされ、監督は実質的にそれらを補助する“総監督”の役割に近い。そのためジブリが得意とする、1人の天才的な監督が作品全体の制作をとりまとめるような制作手法とはなじみづらいという。

実際、ジブリが設立される以前に高畑勲監督らが手がけた「アルプスの少女ハイジ」などのテレビシリーズは、高畑氏らが1話ずつすべてチェックするなど、現在ではほとんど真似ができない制作手法だったようだ。

2018年に高畑監督が亡くなり、宮崎監督も歳を重ねる中でジブリの経営を託された日テレは、当然「ポスト宮崎」の制作体制をも担うこととなる。世界的IPの行く末を任された重圧は、テレビ広告費の縮小という経営課題に並んで大きくのしかかるかもしれない。

髙岡 健太 東洋経済 記者

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たかおか けんた / Kenta Takaoka

宮崎県出身。九州大学経済学部卒。在学中にドイツ・ホーエンハイム大学に留学。エンタメ業界担当を経て、現在はM&Aや金融業界担当。MMTなどマクロ経済に関心。

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