「ジブリ電撃買収」を決めた日テレが背負う重圧 後方支援を強調するが次世代育成に課題も

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日テレは現状、ほとんどのジブリ作品のテレビ放映権を持っており、1989年に公開された「魔女の宅急便」以降は、一部を除いてほぼすべての作品に出資してきた。ジブリ作品は制作費が膨大で、出資側のリスクも高い。そうした中でも初期の作品から出資を続けてきたことや、日頃からの幹部同士での密なやりとりが、両社の蜜月関係を構築していった。

業界関係者の間では、今回の日テレによる株式取得価額は数百億円程度とみられている。2023年6月に発売された鈴木敏夫氏責任編集の新書『スタジオジブリ物語』によると、過去には3000億円での株式買い取りを提案してきた海外企業もあったというが、「お金を儲けたい会社ではなく、ずっと映画を作っていたい会社」(西岡執行役員)であるジブリにとっては、日テレが最良のパートナーだったようだ。

日テレにとって「千載一遇の機会」

日テレからすると、地道な関係構築が実を結んだ形となった今回の提携。あるアニメ業界関係者は「千載一遇の機会」だと評価する。

視聴率の低下に伴い、多くの民放テレビ局が広告費の縮小に頭を悩ませている状況下、業界では「放送外収入の拡大」が共通課題となっている(詳細はこちら)。中でもアニメ領域は、広告収入に依存しない一方でテレビとの相性もよく、「NARUTO」などで稼ぐテレビ東京の成功例もあることから、民放各局がおしなべて強化に動いている。

こうした背景から、実は日テレは過去にもアニメスタジオを2社買収している。2011年に劇場アニメ「サマーウォーズ」などの制作を手がけたマッドハウスを、2014年には「ヤッターマン」などの制作で知られるタツノコプロを買収した。

だが、これらのM&Aが想定通りの成果を上げたとは言いがたい。業界関係者によれば、当時マッドハウスは赤字経営が続いていたものの、日テレは買収によって「サマーウォーズ」などで同社作品にコミットしていた細田守監督を囲い込めると考えていた。しかし細田監督はその2カ月後、新たな制作会社を設立して離れてしまったという。

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