人見知り、コミュ障でも「雑談できる3つの秘訣」 コミュニケーションの達人が教える雑談とは?

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「……塔のような、帆船のような、大爆発のような」

名コピーライター開高健は、積乱雲をこう表現しました。

この言葉をはじめて見たとき、「ただ、心に浮かんだことを羅列するだけでいいのか!」という発見がありました。

1つの雲を表すのに、いくつもの思いついた言葉を書き連ねていくことで、より具体的な雲のイメージが頭に浮かんできます。

油絵具で描くように、さまざまな言葉を塗り重ねて、「積乱雲」を描いている。そんなイメージでしょうか。

雑談でも、この方法は大変有効なテクニックで、簡単にできる方法でもあります。

開高さんのこの手法は、「あれか、これか」ではなく「あれも、これも」。

言いたいことを取捨選択するのではなく、いいと思ったものは全部入れて「言葉のブイヤベース」をつくる。

このやり方を知っていると、なんだか気持ちがラクになりませんか。

「言葉のブイヤベース」毎日できる練習法

「何か上手いことを言わなければ」というマインドは、プレッシャーとストレスになります。上手く整理して話すのは、意外に高いハードルがあります。

でも、そんなことはいったん忘れて、頭に浮かんだ言葉を、もっと自由に解き放っていいわけです。

言葉のブイヤベースのつくり方が上達するように、毎日できる練習法がありますので、紹介します。

方法
身近にある、時計、ノート、コーヒーカップなど、なんでもよいです。
モノを観察してスケッチをするように、頭に浮かんだ言葉を書き出す。

たとえば、コーヒーカップ。

 ● 丸い
 ● 飲み口が薄い
 ● 手触りがなめらか
 ● コーヒーが美味しそうに見える
 ● 冷めにくい

なんでもOKです。

会話では、こんな感じで使います。

「このコーヒーカップ、丸くて、手触りがなめらか。飲み口が薄い。このカップで飲めばおいしく飲めそう」

『雑談が上手い人が話す前にやっていること』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

「自分が放った言葉を相手がどう思うか」を心配するのではなく、まずは言葉数を増やしてみる。これで、話すことへの抵抗感が薄れていくはずです。

いかがでしょう。

どれも、今すぐはじめられる雑談力アップの方法です。

ペラペラと饒舌にしゃべることだけが雑談ではありません。

あなたは、あなたにできそうなことをやりつつ、ちょっとずつ、雑談の技術を身につければよいのです。

ひきた よしあき コミュニケーション コンサルタント、大阪芸術大学放送学科客員教授

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Yoshiaki Hikita

早稲田大学法学部卒業。博報堂に入社後、クリエイティブディレクターとして数々のCMを手がける。行政、大手企業などのスピーチライターとしても活動。幅広い業種・世代間のギャップなどを分析し、コミュニケーション能力が高まる方法を伝授する。また、大阪芸術大学、明治大学、慶應MCCなどで教え、「はじめて『わかった!』と心の底から思えた講義」「一生ものの考える力が身につく」と支持を集める。教育WEB「Schoo」では毎回事前予約が約20,000人集まるほどの人気ぶり。著書に『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)など。

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