見切り発車で大混乱、東電・原発事故賠償策の落とし所
カギ握る第三者委員会
そもそも混乱を来すのは、肝心の東電のあり方が定まっていないからだ。事業体として残る前提だが、近く立ち上げる第三者委員会が東電の“解体”につながるという憶測も浮上。関係者は「発送電分離に意欲的な委員の名も出ており、リストラに向けて発送電設備の資産査定も行われる」と語る。
首相周辺では分離議論の機運も高まっているが、「例えば送電の場合、イニシャルコストがそうとう安くなければ収益性に問題が出る。資産売却でカネを作るといっても簡単にはいかない」(みずほインベスターズ証券の河内宏文シニアアナリスト)。
不確定要素が多すぎる賠償策。十分な議論がされず性急だったことは否めない。今後閣議決定を経て国会へ法案提出される見通しだが、党内の意見集約すらままならない状況では、さらなる混乱を招くことが必至だ。
(倉沢美左 =週刊東洋経済2011年5月28日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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