見切り発車で大混乱、東電・原発事故賠償策の落とし所

見切り発車で大混乱、東電・原発事故賠償策の落とし所

政府による東京電力福島第一原子力発電所事故の損害賠償の枠組みが5月13日決まった。素案段階から関係各所の意見がまとまらず再三延期。ようやく発表にこぎ着けた。

枠組みは、東電がリストラや事業を通じて得た資金を財源に賠償金を支払うことを原則とする一方、同社が破綻する事態を防ぐため、機構を新設し、必要に応じて東電に資本注入する。機構には、電力各社が負担金を支払うほか、政府が交付国債発行を通じてバックアップする仕組みで、支援体制は盤石に見える。

支援には上限を設けておらず、機構は東電の要請があれば、何度でも支援する。そのため、東電は事実上破綻しないことが確約され、上場も維持される。一見すると、ステークホルダーによる「痛み分け」はないようにも見える。

が、フタが開いて驚いたのが金融機関だ。メガバンクは事故直後から賠償案を作成し、議員行脚。東電への債権の“保護”を求めてきており、今回はこれがたたき台になっている。しかし、今回発表された文書には「全てのステークホルダーに協力を求め、とりわけ、金融機関から得られる協力について政府に報告を行う」と記されたのだ。

しかも発表直後の会見で、枝野幸男官房長官が「(金融機関が債権放棄しなければ)国民の理解が得られるかといったら到底できない」と発言。金融機関に激震が走った。

突然の発言に対して三菱UFJフィナンシャル・グループの永易克典社長は「枝野さんの発言には非常に唐突感、違和感がある。民民の関係に政府が出てくるのはいかがか」と不快感をあらわにする。政府内でも玄葉光一郎国家戦略相が15日、テレビ番組で異論を唱えるなど、議論は定まっていない。

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