「声優になりたい」
この思いをすぐに行動に移したいが、実際に声優オーディションはそうあるものではない。ましてや十勝にいては、なおさらだ。
そこで、藤咲はオーディション情報をくまなくチェック。芸人の田村淳氏プロデュースアイドルのオーディション情報を見つけ、「これだ!」とすぐに応募。見事合格し、東京でアイドルとしてデビューすることになる。
「声優のオーディションがなくて、田村淳さんのプロデュースだったら『有名になれるんじゃないか。声優になるための勉強になる!』と思って応募しました。だから最初からアイドルになりたいって思っていたわけではないんです」
あくまでも声優になるために知名度を上げるためのスタートという位置づけ。所属グループ「ぶっ壊れRe:論‰」(ぶっこわれろんぱーみる)にも、いろいろな夢を持つ女の子が集まっていた。
こうして藤咲は東京でアイドルとしてデビュー。今とは別の芸名で活動をスタートさせる。
だが、地元北海道と東京の往復は厳しく、やむなく高校を中退。家族とは高校卒業認定試験を受けることを条件に、17歳で東京の親戚を頼って上京することになる。
おりしもアイドル戦国時代真っただ中。「声優になりたい」という思いとは裏腹にライブアイドルとして、毎日ライブにレッスンと忙しい日々を過ごしていた。
藤咲はこの頃、運命ともいえる出会いを果たしている。現在活動してる音楽ユニットの相方、「最終未来少女」のメンバー、小野緑と出会ったわけだが、そちらは後編に記させていただく。
順調に見えつつも「もがき続けた日々」
2018年、女子高生ミスコン「2017-2018」に参加。関東グランプリとなり、全国大会でも受賞する。
同年、「ぶっ壊れRe:論‰」が解散しアイドル活動はやめたが、「青春高校3年C組」(テレビ東京)に出演。『週刊プレイボーイ』(集英社)でグラビアデビューを果たすなど、徐々に世間に認知されはじめていた。
しかし、「声優になりたい」という藤咲の心は満たされることのないまま、時間だけが過ぎていった。
その後、縁あって所属した声優事務所も、仕事に関する方向性の違いからやむなく退所。
うまくいかないことに焦り、自暴自棄になり、自ら傷つけることもあった。次第に「辞めたい、北海道に帰りたい」そんな思いが強くなってきた。
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